異世界派遣担当。Ⅳ【wrwrd!】【完結】 (ページ48)

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なんで夢なのに、破壊するのだろう。なぜ願いなのに破壊するのだろう。

願いを叶えることで、壊されるものがあるということなのかもしれない。私は、それに気づくのが、遅すぎた。

気がつけば、トントンもロボロもいなくて。グルちゃんも当然のようにいなくなっていて。

『…破壊…ねぇ…。理不尽すぎない…？』

目の前に広がる湖や原っぱは、グリッチやインバージョンと違い、現実で、グルちゃんの世界で見たようなものだった。

こういうのは、死んだ時に見ると聞いたのに。

ふと、視界の端で、知らない少年が見えた。
それは、湖の中に見える、ある街のある景色であった。

『…グルちゃん…か？』

そこに映る金髪の少年は、今と違い青い瞳を揺らしながら、キラキラと笑顔を向けていた。

その湖の記憶に浸かるようにゆっくりと目を凝らした。

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gr「俺もお父様みたいになれるように頑張ります!」

無邪気に笑っている少年は、父親に言われるがままに、大きくそう宣言した。今、父のようにはなりたくないと言い、世界を変えようと目論んでいるなんて、思えないほどに綺麗だった。

gr「父上、見た目や地位だけにそのように固執する必要はないと思いますが。」

場面が変わって見えたのは、少し大きくなったグルッペンだった。先ほど見た無邪気さは消え、まだ10にもなっていないように見えるがその子供らしさは消えていた。まるで父を蔑むように震えていた。

gr「私の見た目が、醜くなって、あなたは捨てたいと思いましたか？」

真っ赤に染まった目を、静かに父親に向けた。また少し成長しているその姿は、本当に、子どもらしさを知らなかったのだろうと感じる。目の下にはクマができ、綺麗だったあの青い瞳は濁った赤へと変色し、金髪もぐしゃぐしゃにかき乱されている。

gr「俺は自由になる！！」

今度は父親は出てこなかった。ただ、あの洋館が見えた。古く、今にも壊れそうな。私のおかげですっかり、綺麗になって今じゃ私たちの基地となっていたあの洋館が。

gr「いつか同胞と共に、世界を描ければいいが…たとえばこんな世界を。」

gr「奇跡は、いつだって自分で作り出すものだ。」

大きく彼が壁に描いたのは、たくさんの文字と数列、そして大きな地図だった。

それは、彼が子供心を持ち始めて描いた、彼自身の望んだ大きな夢だった。