異世界派遣担当。Ⅳ【wrwrd!】【完結】 (ページ25)

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泥酔-主ページ25

大人がお酒に酔ったら、呑まれたら。こんな感覚なのかもしれない。

ムジカと書かれた看板の店。いい思い出はなかった。魔力のない人間に渡す杖なんてないと、散々蔑まれた地。この杖屋では、杖を買えなかった。

たとえどんなに嫌な場所でも、知っているところであるとどこか安心感を覚えてしまうことは、致し方ないと思う。初めから、裏世界に、何の命綱も持たずに飛び込むことは、心の大きな重になっていて、それは、小さくなることを知らないというように大きくなっていくばかりだった。

『私が、よもぎのように誰かを傷つけてしまったら。』

『みんなの夢を壊してしまったら。』

『裏世界で、記憶を守れなかったら。』

『もし、グルちゃんやロボロを巻き込んで危険な目にあってしまったら。』

『それが、不幸を成してもし、もし彼らを死に追いやってしまったら。』

そんな恐怖心が、支配していく。その感覚は、懐かしいと思うほどに、感じたことのないようなほど。嗚呼、そうだ。よもぎに殺されたあの子が、支配されたあの瞬間に叫んだ私と似てるんだ。

大切な人はもう、作らないって、そう誓ったのに。

ふわふわと宙に浮かんだままの体にはもう力が入らなくなってきた。欲に支配される、とはこのことなのかも知れない。

でも、

『これで、いい……。』