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「‥全然寝られなかった‥」

夏だから、夜明けも早くて。

時計の針が4を指す頃には、外もだんだん
夜が消えていく色になっていて。

寝なきゃ寝なきゃ、と思っても
なかなか寝付けない。

とは言っても、今日は土曜日だし、まあいっか。

寝る事を諦めて、ベッドから起き上がれば。

昨日の夜見たDVDが机の上に置いたままになっているのを、私はじっと見つめた。

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中学一年生の頃、
佑亮は事務所の人に声をかけられて。

その時は、まさか、佑亮がこんな、キラキラした
大舞台に立つなんて、思ってなかった。

中学二年生の頃、
私のお父さんの転勤が決まって。

私は隣の県へ引っ越した。

ずっと、佑亮の事が気にかかりながらも、
だけど、何にも言えなかった私は。

離れて、この気持ちが恋だったって事に気付いた。

《栞里、今度俺のライブあるんだけど、来ない？》

高校生の頃、電話口で誘われたライブ。

行きたかった、でも、行きたくなかった。

だから。

「ごめん、忙しいから、」

そうやって断った。

数日後の夜、送られてきたDVDを見たら。
私の気持ちは逆戻りしちゃったんだっけ。

#

だから、ずっと見ないようにしてた。
佑亮の事、忘れようとしてた、。
もう苦しい思いはしたくなくて。

好きになっちゃいけない。
この気持ちを、止めなきゃ。