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ため息でこの仕事の山も吹き飛べ。

なんて念じて、はあ、と大きめに息を吐いてみたけれど。
そんなことで終わるならばもうとっくに終わってる。

「お腹すいたなあ」

ぽつり、呟いた21時すぎ。
会社の窓から見える夜景が憎い。

いつの間にか部署でひとり。
フロアの中に、人気は無くて。
誰にも見られてないから集中力の糸がぷつり途切れる。

デスクに顔を突っ伏して数分後。
ふわり、知っている匂いに顔を上げた。

「…大輝」

『お疲れ』

手にはビニール袋。

『相当息詰まってんね』

「何でこんな時間に居るの」

『差し入れ。』

書類が散らばった私のデスクに、
おにぎりと野菜ジュースと、カフェオレ。

ぎゅっと胸が詰まるのは、何でだろう。

「え、ありがと…」

『里紗のくせに、随分素直だね』

うるさい、なんて返す余裕も無い。

『昼に会ったとき、俺のせいで残業だって言ってたから』

「あ〜…」

聞こえてたのか。

『…何で、俺のせいなの?』

私のデスクの横のキャビネに寄りかかって、
私を見るその目が何だか真剣で。

「大輝がたまたま居たからだけど」

なんて、笑ってみても。
大輝は表情を崩さずこっちを見てる。

この違和感は何なんだろう。

何か、大輝が変だ。

白い肌がほんのりと染まっているように見えるし、
2人だけの空間に、やけに緊張する。

『…あのさ』

「な、なに」

その手が伸びて、私の髪に触れる。

動けない。

次の言葉に、想像もつかない。

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あかり(プロフ) - 。さん» はじめまして!そう言っていただけて嬉しいです!励みになります。これからも最後までお付き合いください◎ (2017年10月25日 8時) (レス) id: 7a52df4d5b (このIDを非表示/違反報告)
- すごく凄く面白くて表現がとても綺麗で読んでいてきゅんって、できるような作品でとても好きです。 (2017年10月25日 0時) (レス) id: ff129d1410 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あかり | 作成日時:2017年9月24日 0時

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