能ある少女は力を隠す【Dr.STON】

救われる ページ36

千空side

なにが「やる気のねえ奴を連れてったところでかえって危険」だ。そんなこと言える立場じゃねえだろうが。

『うん。ありがとう』

じゃねえだろ。なんで礼なんか言うんだよ。違えだろ。俺が無理矢理連れてったんだ。もっと恨み言があってもおかしくねえ。火傷までさせたんだ。
あいつの腕を見て、何も言えなかった。

本来なら負うはずがなかった怪我。

小柄で華奢な見た目の中で一際存在感を放つ仰々しい火傷痕。

白く細い腕の一部はくっきりと銀朱色に変わっている。

全部、全部。俺が負わせた。嫌になっても仕方ねえ。そんな危険に巻き込んだんだ。

「千空くん。なんか変なこと考えてるでしょ」
「!? A・・・」
「もしかして火傷のこと気にしてる? 平気だよこれくらい。ここから先で起きる事を思えば必要経費みたいなもんだよ。どうせこれよりヤバいの作るんでしょ？ ・・・逃げたりなんかしないよ。私は君と一緒にいるって決めてるんだから(千空くんと行動してれば猛獣や飢えはまず無いだろうし)」

そうだ。こいつは・・・。

「ククク。誰が気にしてるって？俺はただガスマスクについて考えてただけだ」
「そーゆーとこあるよね。可愛いとこあると思ったのに」

こいつはこういう奴だ。俺の側でアホみたいに笑う奴だ。
　

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