能ある少女は力を隠す【Dr.STON】

再決心する ページ15

炭酸カルシウム。その言葉を聞いて大樹くんと司くんが別々の反応をする。

「なるほどー！ 例によって全然分からん」
「石灰か！」

司くんって強いだけじゃなくて頭も良いのなんなの？

「ああ。そこの雑アタマでも分かる言い方で言うとそれな。グラウンドの白線引きだ」
「つまりその炭酸ナントカゲットのために体育倉庫を探すんだな？」
「おおそれな。体育倉庫な！ あったらいいな！ 3700年後のこの世界にな！」

このくだりさっきもやったじゃん・・・。学習しなよ大樹くん・・・。

「デカブツ。テメーのおヒゲのケアに大活躍してた貝殻だが、ボッコボコの粉々にするだけで___その炭酸ナントカのできあがりだ」
「おおおおし。体力担当俺にまかせろー!!」
「はっや」

あっという間だよ。流石大樹くん、素直に凄い。尊敬するね。

「ククク。炭酸カルシウムほど唆るもんもねえ。4つも！死ぬほど重要な使い道がある。

その1！ 農業。石灰で水素イオンをブチ飛ばす! つまり土がレベルアップする。
その2！ 焼いて砂と混ぜりゃモルタルの完成だ。セメントの子供だな。デケえかまどや家が建つ。
その3！ 石けん!さっきAが言った通り、病気=ゲームオーバーのこの世界じゃバイ菌浄化するこの小せえ塊が医者がわりの命の石、Dr.ストーンだ！」

お、おお・・・。感動か怯えか、あの司くんも冷や汗垂らしてるねぇ。司くんが千空くんを褒めちぎると、暫く沈黙の末、千空くんが口を開いた。

「目の前で男を褒める男はホ モか策士(タヌキ)かどっちかだ。何が言いてぇ」

いや流石に選択肢無さ過ぎでは？ 普通に褒めただけかもじゃん。まぁ違うんだけども。

「困ったな。そんなに深い意図はないよ。君なら本当にゼロから近代文明を作れてしまう(・・・・・・)かもしれない。うん。ただそう思っただけだ。」
「・・・いやー。お二人さーん。この空気に1人ついて行けない女子の身にもなってよ。なぁにそんなピリピリしてんの。仲良くだよ。なーかーよーく。」

大樹くんはよ戻って来てくれよー。・・・そろそろ、か。見捨てるなんて大層な事を言ったけど、本当に出来るのかな。大丈夫と思っていても思わず千空くんを助けようとしてしまうかもしれない。その場合、どんな改変があるのか分からない。

そもそもこの世界に強制力なんてものがあるかどうかも不明なんだ。だからやっぱり、初めての石像破壊でいなくなるか。

大丈夫。演技は得意でしょ。
　

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