. ページ50
小島「何で急にそんなん聞くん？」
A「何となく」
小島「何となくで今出る質問かあ？」
怪しむような視線が私を探る。
佐野「けど俺らもう恋バナしましたからね」
末澤「ああ…そういえばしたなあ」
小島「2日目の夜やっけ？」
男の子同士の内緒話は相当盛り上がったらしい。
思い出すかのような表情を浮かべた4人の口元がだらしなく緩んでいく。
小島「で、まっさんどうなん？」
正門「"どう"って？」
小島「彼女。」
正門「あ、そっか。俺が聞かれてんのか。」
小島「天然は1人で十分やって」
呆れ顔を見せる小島くんの隣で正門くんが私に微笑んだ。
正門「おらんよ」
つまり、女子達から告げられた思いは全てお断りしているということになる。
やはり相談するとしたら正門くんしかいない。
A「正門くんこの後暇？」
小島くんが再び烏龍茶を吹き出した。
佐野「あーもう！汚いっすよ！」
佐野くんのTシャツにかかったそれを慌てておしぼりで拭く小島くん。
その様子を横目に正門くんが首を傾げる。
正門「暇やけど…？」
A「ならちょっと話聞いてほしくて…」
私の言葉を遮るように"いやいやいやいや"と割って入る小島くん。
小島「待って待って？この話の流れで"この後暇？"はもう絶対告白やん！A、まっさんに告る気やろ？何？いつの間に好きなん？何でそうなったん？詳しく！詳しく聞かせてや！」
末澤「ちょ、小島やかましいわ。」
一気に捲し立てる小島くんの凄まじい圧を迷惑そうにする末澤先輩。
正門くん本人は一切動揺せず"ええよ〜"とニコニコしている。
小島「"ええよ〜"ちゃうって！俺ら泥臭い汗臭い草むしり部やろ！？」
佐野「いや、軽音部ですよ。」
小島「やとしても！」
熱くなっていく小島くんに手のひらを向けた。
A「ストップ」
小島「…何？」
A「リチャ先輩の顔見て？」
キッチンから覗く彼の鋭い眼光に小島くんがみるみると小さくなっていく。
佐野「あーあ、怒らせた」
末澤「俺ら知らんからな」
正門「お肉美味し〜」
すっかり落ち込んでしまった小島くんを見ていたら何だか笑えてきて、改めて今日ここに集まれたことを嬉しく思った。
だけど頭の片隅では福本くんへの罪悪感が消えないまま。
本来なら福本くんも笑っているはずだったのに―
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 398人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ﾋﾟﾝｷ | 作成日時：2023年1月17日 15時
