Aぇ!軽音楽部!!!!!! (ページ48)

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草むしり部の恋愛事情ページ48

草間「5名様ご来店でーす」

リチャ先輩の声に続いて"いらっしゃいませー！"が響き渡った。

小島「おお〜」

正門「リチャくんが働いてる〜！」

気持ち良い歓迎の挨拶と立ち込めるジューシーな香り。

お肉が焼ける心地の良い音、賑やかな家族連れ。

席に通され、一気にワクワク感が高まっていく。

末澤「俺焼肉久々やわ」

正門「俺も久しぶりな気するなあ…」

慣れた様子でメニューの説明をこなすリチャ先輩を皆でニヤニヤしながら見守る。

当の本人は全く気にすることなく淡々と話して網に火を付けた。

草間「あ、言っとくけどくれぐれも邪魔せんといてな」

1年生の頃から働いているらしい彼の仕事っぷりと風格はベテランの域。

バイトを理由に部活を休むことがあるのも理解できるような気がする。

小島「なんか…店長みたいやな」

末澤「あ〜、分かるわあ」

テキパキとホールを動き回るリチャ先輩を目で追ううちに本格的な空腹が襲ってきた。

佐野「…はよ頼みません？」

正門「ああ、そや。注文せな。」

末澤「今一瞬忘れてたわ、ご飯食べに来たこと」

小島「リチャくんに見とれてたわ、完全に。」

メニューを囲んでの話し合いが始まった。

佐野「タン！」

正門「人数分？」

末澤「多ない？」

小島「ハラミは？」

そんな中、私は福本くんのことを考え始めていた。

車内で言われた言葉が否応なしに頭の中をぐるぐると巡って私の思考を独占している。

"好きなんよ、Aちゃんのこと。"

―彼の言う"好き"はつまるところ恋愛的な意味。

"友人として"でもなければ"部活の仲間として"でもない。

"男として"の気持ちをぶつけてきたのだ。

まさか福本くんが私のことを好きだなんて思いもよらなかった。

耳を疑うほどの衝撃は数時間経った今でも消え失せていない。

あの時、返す言葉に困ってしまった私は無言を貫いた。

ただただ眼差しを受け止めるので精一杯だったから。

ベストかバッドかはさておき、そのタイミングで室先生が車内に戻ってきた為それ以上彼と会話することはなかった。

小島「…てか大晴どうしたんやろ」

末澤「さあ？体調悪いんちゃう？」

―提案者である彼はこの食事会に姿を現さなかった。