96.数週間後。 ページ5
ーAsideー
引越し先は、前一緒に住んでいた家とはかなり遠い場所に位置するところだった。
それでも都内で、かなり大きめのマンションだ。
と言っても、前と何ら変わらないくらいの広さだった。
まふ『Aちゃんの部屋はここ。僕の作業部屋と少し遠いけど、寝室は隣だよ』
A『う…ん!わかった!』
作業部屋が遠い事に少しの悲しさと寂しさを覚えつつ、部屋に元から置かれていたタンスの中に服をしまっていく。
丸い小さなテーブルも、カーペットも敷かれていて作業が楽だ。まふくんのことだから、きっとそこまで業者に頼んだのだろう。
私は力作業なんてひとつもできない上、無理にやると怪我をしかねない。
まふ『お隣さんに挨拶とか…は、いいか。それよりも防音壁と……』
自分の部屋は案外早くに済んだ。もとより荷物が少ないため楽ちんなのだ。
ベッドは置いていないし、変に大きな荷物もないのだ。当たり前といえば当たり前なのだが。
まふくんは機材やインテリアの装飾に必死だ。
今日一日はきっと忙しいだろうから、あまり迷惑をかけないようにしておこう。
……………………あれ?
A『まふくん、そこに________』
まふ『あ、ごめんね…今日は忙しいんだ』
A『そうじゃなくて、まふくんの足元に…
大きい風船が………………っ』
言うよりも早く、まふくんがそれを思い切り踏んずけてしまう。
パァン、という破裂音が耳をつんざく。いつ聞いても嫌なこの音は、2人の顔をしかめさせた。
A『…………っ』
まふ『う……』
エアが抜け、縮んだ風船だけが足元に残る。
A『まふくん大丈夫…?ごめんね、すぐ気づけなくて…!』
まふ『なんでAちゃんが心配するの…大丈夫だよ、ありがとう』
ふふふと軽く微笑んで、頭を撫でてくれた。
まふ『__________あと、
ちょっとだけ、これ付けててね。』
A『え、なに?これ…………っう!?』
柔らかく、黒いなにかが目を覆い隠す。
目隠しのようなものなのだろうか。
まふ『そのまま僕の部屋のベッドにいてね。………………怖いことはしない。ただ、ちょっとだけ待ってて。』
A『……………………うん』
自然と恐怖心も猜疑心もなく、素直に頷く自分がいた。
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ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2021年4月1日 14時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あお★@発狂同盟 - ねこた こたつさん» 初めまして!!!今日この作品を見つけて今日中に見たものです…とっても面白かったし、ちょっと泣きそうになりました。今は忙しいと思いますか、作者のペースで頑張ってください!!! (2020年3月8日 21時) (レス) id: 130c72dd6a (このIDを非表示/違反報告)
ののの - お久しぶりです!何日か振りにきたらいつか振りに更新されててわああわあわわあ(すいません嬉しいですありがとうございます!! (2020年3月4日 1時) (レス) id: 9e3a24b4f9 (このIDを非表示/違反報告)
ののの - 謎に感動してます!!更新ありがとうございます。 (2019年9月13日 16時) (レス) id: 448bbe21b5 (このIDを非表示/違反報告)
こもりうた - 続き、楽しみにしてます!!更新頑張ってください! (2019年7月26日 14時) (レス) id: c6ad46fdd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねこたこたつ@小雪姫 | 作成日時:2019年6月27日 2時