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中山道さん42 ページ45




 中山道を除く一般路線の廃線組には書類を提出して、認可が下り
てから最低一週間は待たなくてはならない。しかし、元特急官であ
る彼等は書類を提出すれば、認可が下りたその日に会うことが可能
だった。それを、可笑しいと思えなかった。

 中山道は元々どんなに書類を提出しても、会わせてもらえなかっ
た。諦めずに提出を続けているが、一向に認可の返事が来ない。

「中山道さん、連れてきました」

 しばらく進んだ所にあった扉をあけながら、富士は声をかけた。
 中には数人の路線がいる。彼等は制服もバラバラで、ところどこ
ろ包帯が巻いてある者もいて、その一番奥に東海道と中山道がいる。
 中山道の隣には頭に包帯を巻いている男が控えていた。

 ――アイツ

 襲撃の後、中山道の隣にずっといた男だ。その隣にIGRが俯いて
いた。自然と眉が寄ったが、

「一区、二区。こっちにおいで」

 中山道に呼ばれたことで、どうでもよくなる。
 しかし、彼女は近付いた自分達と東海道を並べると、こちらを睨
み上げると口を開いた。

「キミ達は何を考えているんだ。こんな所に来る余裕があるように
はお見受けしなかったのだが? 現役路線は暇なんだね」

 淡々と吐き出された言葉に、眉が下がる。

 興味ないような冷めた口調で言われた言葉の節々に、自分達への
気遣いを感じた。この場所は危険なのだと、彼女が思っているのが
分かる。そして、それを自分達に伝えようとしてくれているのだ。

「……中山道さん、それ今流行りのツンデレじゃ」
「宇品、つんでれって何?」

 コテンと首を傾げた中山道に、宇都宮達は我慢できずに、顔を背
けた。他にも何名かその仕草に視線を逃している者がある。

 彼女をじっと見ていなくてはならない宇品の頬が染まっているの
が気に入らない。


 しかし、彼はグルグルと視線を泳がせるとニカッと笑った。


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設定タグ:青春鉄道 , 二次創作
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聖藍萌愛亜(プロフ) - ぴよっちさん» わかりました!読み返しながら待ってます。 (2017年1月22日 18時) (レス) id: 1ec8964610 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよっち(プロフ) - 聖藍萌愛亜さん» コメントありがとうございます。返信にお時間が経ってしまって申し訳ないです……。続きが気になると言っていただけてとても嬉しいです!修正してからもう一度更新していこうと考えているので、よろしくお願いいたします (2017年1月22日 17時) (レス) id: a592d04503 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよっち(プロフ) - 彩楓さん» コメントありがとうございます。お時間が経ってからの返信ご容赦ください。すごいと言っていただけてとても嬉しいです!修正して再び更新したいと思いますので、よろしくお願いいたします! (2017年1月22日 17時) (レス) id: a592d04503 (このIDを非表示/違反報告)
聖藍萌愛亜(プロフ) - 青春鉄道にハマってから時間があまり経っていませんが、大好きです!とても面白くて続きが気になります……!無理をしない程度に、更新頑張ってください!! (2017年1月21日 23時) (レス) id: 1ec8964610 (このIDを非表示/違反報告)
彩楓(プロフ) - はじめまして!青春鉄道だいすきになってから4年が経とうとしてる彩楓です!凄い小説ですね!私も見習わなくちゃ!これからも頑張ってください!! (2016年12月28日 10時) (レス) id: e14b6601c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴよっち | 作成日時:2016年1月10日 2時

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