1. 少年�� ページ5
〜家〜
Aがいるのは質素な部屋だった。
あるのは図鑑の並んだ本棚と、木の机と、椅子だけ。
机の上には工具が散らばっている。
A「おじいちゃん、遅いね」
紫色の匣を片手で軽く上に投げてはキャッチしてを繰り返しながら
近くを飛んでいる緑色のオウムに話しかけた。
A「………」
手の中の立方体と指輪をじっと見つめ
スモークのかけられた窓をこつんと指で叩く。
A「……おじいちゃんにはナイショだよ」
匣とリングを黒い巾着に入れて部屋を出る。
隣の部屋へ行くとサイズの大きな上着を羽織り、そのポケットに先ほどの巾着を突っ込んだ。
タタタタッ
階段を下りる。
A「…えいっ」
ガチャッ
リビングのドアを開ける。
スタスタッ
壁をつたって廊下を歩く。
バタンッ
バタンッ
玄関の靴箱を開け、少し眺めて閉めた。
とんっ
ぺたぺた
裸足のまま玄関に下り、ドアまでたどり着く。
カチャ
Aは外の世界へ飛び出した。
〜外〜
A「うわっっ」
自転車にひかれそうになりながらAは道に出た。
A「外の世界は危険がいっぱいって本当なんだね…」
靴も履かず、鳥に話しかけるその様子は周囲から奇異の目で見られていた。
しかし、世界への好奇心溢れるAは気にしない。
A「でも、負けていられない ベルトの"適合者"を探すんだ
おじいちゃんもきっと喜んでくれるよね」
ポケットから取り出した黒い巾着を軽く握った。
A「おおっ この大きい建物はたしか……"学校"だ」
すぐに目線を上げ、白い壁を興味深そうに触って歩く。
A「ここには私と同じくらいの子がたくさん――うわああっ」
ひゅんっ
どさっ
建物に気を取られていたAは石につまずいて盛大にコケた。
A「いたた…… ……………あれっ？」
巾着がなくなっていることに気づく。
A「ベルトがないっ！！？」
〜並盛中学校 廊下〜
コロンッ
窓から巾着が飛んでくる。
コツコツ
それを少年が拾い、中に入っていた紫色の匣をつまみ上げた。
少年「オルゴール……？」
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作者名：波紋セラーノ | 作成日時：2022年1月31日 23時
