風紀委員長のわんこですが (ページ23)

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22匹目　ディーノ先生③ ページ23

屋上

青年の金髪が風に揺れる。

「あの人は跳ね馬ディーノ…キャバッ…………ゴホン、イタリアのすごい人だ」

『キャバッ…？』

そして、フェンスに寄りかかって先生…ディーノさんを見守る、長身黒スーツの渋い男の人。

「その腹心、ロマーリオのおっさん」

ディーノさんの向かいには委員長が鋭い殺気を放ちながら立っている。

私はというと、殺伐とした空気に耐えることができず、階段の扉に隠れて覗き見していた。

そんな私に付き合って、隣でいろいろ教えてくれているのは草壁さん。

『さっきディーノさんが委員長の家庭教師を名乗っていたのですが――』

真偽を聞こうとしたとき

「ほ～ら恭弥、お土産持ってきたぞ」

ディーノさんが突然にこやかになって、お団子の袋を持ち委員長に近づいていった。

シュンッ

「あ、おいっ！」

トンファーに引っ掛けられお土産を取られてしまう。

「こんなものよりあなたの首がほしいかな」

委員長は奪ったものをふところに仕舞い、滾った目で男を見つめた。

………仲悪いのかな？

「この通り、委員長は家庭教師など認めていないだが……」

「手のかかる教え子だぜ」

ディーノさんは少しだけ少年らしさの混じった笑みを見せる。

「跳ね馬が委員長にものを教えている、というのは否定できないだろうな」

ふたりの間にバチバチと火花が散る。

もしかして、ディーノさんが教えているのは――

プルルル

そのとき、電話がかかってきたロマーリオさんは席を外した。

「仕方ねぇ」

口ではそう言いながらディーノさんは鞭を取り出す。

ぽろっ

シュンッッ

鞭はしなやかに委員長まで伸びていった。

パシッぴゅんっ

しかしさすが委員長トンファーで簡単にはじく！

鞭は宙を舞った……かと思ったが、委員長の腕に絡みついていった。

あの人、なかなかやるな。

………ん？ぽろっ？ぴゅんっ？

今、何か飛んでいったような……

「あ！？」

ディーノさんが急いでモッズコートのポケットをまさぐると、

「エンツィオがいない！」

真っ青になって言った。

『エンツィオ…？』

「跳ね馬が飼っているカメだ水を吸うと大きくなって……ハッ」

『…………カメが飛んで行った方向って、プール…』

「委員長～～～！」

ドンッ

勢いよく扉を開け、草壁さんは委員長のもとに駆けて行った。