転校生 - 3 ページ4
「秋村Aです。よろしくお願いします」
綺麗な黒髪を高い位置で二つ結びにした愛想の良い少女。
良い姿勢からの深いお辞儀はその視線をより温かいものにする。
生徒1「か、かわいくね!?」
生徒2「礼儀正し〜〜」
クラスメイトがざわつく中、ツナは最近イタリア人とばかり縁があるなあ程度にしか思っていなかった。
先生「秋村さんの席はあそこの…
って、え?秋村さん?」
視線を集めたままにAはどこかを目指して歩き出した。
ツナ(ど、どうしたんだあの子)
不思議に思ってぼんやり眺めていたツナだったが、目の合ったAが顔を輝かせたとき「まさか…」と思い始める。
ツナ(オレ!?
なんだっけ、この状況前も…)
思考を巡らせている最中も可憐にスカートを揺らしながら動く足は止まることなくツナへ向かっていた。
ツナ(ああ!獄寺くんと初めて会ったときだ!)
獄寺とは似ても似つかない見た目と表情だが、小さな家庭教師がやって来てからの以前では想像もできなかった出来事の数々が、悪い予感をより強めていった。
ピタリとツナの机の前で止まるA。
ツナ(ひいー!また机蹴られたりとかしちゃうのー!?)
しかし、かけられた言葉は予想外のものだった。
「沢田綱吉サン、だよね?」
ツナ「へ?う、うん、そうだけど…」
「わあ!」
「お友達になってください!」
にこにこ右手を差し出す少女にツナの頭は混乱したが、
どうやら自分に危害を加えるわけではなさそうだ。
ツナ「う…うん…?」
控え目に出されたツナの右手を力強く握りしめながら引き寄せ、少女は小さな身体で抱きしめる。
「やった!」
ツナ「は!?」
山本「ん?」
獄寺「んな!?」
「よろしくね、綱吉さん」
クラス中の混乱を他所に、少女は満足そうな顔で笑っていた。
72人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:波紋セラーノ | 作成日時:2020年4月26日 16時