白花薊を枯らさないで (ページ3)

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家に帰るや、私は海人にすごい勢いで抱きしめられた。

まるで飼い主の帰宅を待っていた大型犬のようだ。

しつこいくらいたくさん謝られたあとに、

「心配した…」

ってしっぽを下げられたものだから、

「私もごめんね」

と、私も謝って海人のふわふわの髪を撫でた。

その日は海人と一緒に寝て、

こうしていつも通りの生活に戻った。

ただ、その日以降少し変わったのは私の態度だ。

「A〜腹減ったぁ」

海人がゲーム機片手にそう言ってきた。

「自分でなんか買ってきなよ」

「なんで〜」

こうやって海人が駄々こねる時。

いつもだったら私が折れて、何か買ってきてあげるんだけど、

「私今お腹空いてないもん。自分で行きな？」

こんな風に言えるようになったのは、如恵留さんとの会話のお陰なのかもしれない。

すると、突然海人は私を背後から抱きしめた。

「なんでそんな寂しいこと言うの」

「う…分かったよ。じゃあ一緒に行こ」

「よっしゃ！」

こんないとも簡単に折れてしまう私も、相当海人に甘いのかもしれない。

まあ、私が買ってくるんじゃなくて、海人を外に連れ出せただけでも大きな進歩だろう。

そんな感じでたまに喧嘩しながらも、海人とは仲良く付き合っていけると思っていた。

___この時までは。

「今度さ、サークルの飲み会に誘われてるんだけど行ってもいい？OBの人とか来るらしくて、断りにくくて」

ある日、やけに改まった表情で海人がそう聞いてきた。

「いいよ？行ってきなよ！」

「えっ、いやでもその飲み会女子も何人か来るらしくて…」

「まあそれは…でもサークルだから仕方ないんじゃない？」

私がそう答えると、海人は少しの間何か考える素振りを見せたあとに、「ありがとう」と笑った。

それにしても海人が飲み会とは珍しい。

何気に私に気を使ってなのか、そういうことには消極的な感じだったからなぁ。

だから、その日の飲み会も特に心配することなく海人を送り出したんだ。

でも、その日海人はなかなか帰ってこなくて、

ついに深夜、私が寝る時間まで海人が帰ってくることはなかったんだ。