～箱庭～ワタシとアイツのその頃【N.K】 (ページ6)

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・05　ワタシページ6

“俺、好きな子できた！”

そうやって相葉さんが元気いっぱいに声を張り上げた時は

無性に腹が立った。

だってその前に翔さんの友達の話題なんか出して

翔さんが諦めた女の友達の……

それで、俺は好きな子ができたとか

よくもまぁそんな元気いっぱいに言えるよね？って

なんかもう、俺だけ幸せになるのってなんか気が引けるから

翔ちゃんも頑張ってあの時の恋を取り戻そうよ！みたいな。

そういう魂胆がみえみえで、

それを聞いて喜んでる翔さんも翔さんで

本当はめっちゃ心ん中モヤモヤしてるくせにとか

良かったじゃん相葉君、なんて本当は思ってないでしょ？とか

本当に喜んでくれるんだ翔ちゃんとか、平気な顔して言ってんなよとか

目の前ではしゃぐ2人を見てたらイライラがMAXになった。

俺はいつの間にか持ってたゲーム機を、乱暴にテーブルへ叩きつけていた。

(いや、そんな事するつもりはなかったんだけど思いのほか勢いがついちゃっただけね。)

「アナタの魂胆が見えたわ。」

「えっ？」

「本当に相葉さん……腹立つわ。」

こんな風に、あからさまに牙を剥いたことなんて今まで一度もなかったのに。

当然、翔さんが俺をなだめようと必死になるし、

相葉さんはどうしていいか分かんなくって固まっちゃう。

ほら、もう…取り返しのつかないことになっちゃうじゃん。

俺、頑張って笑えよ。

そう思ってたら突然、寝てたはずの大野さんが優しい声で

「やめなさい。」って。助け舟を出すんだ。

アナタに話しを聞いてもらってて、本当に良かったわ。

たまには役に立つのね、なんて心の中でも悪態をついて

俺はいつもみたいにおどけてみせたけど、

今からふざけて見せたって、俺すげぇ情けないだけだよね。

だけど今ここで正直に

「こんな事があったから、だから相葉さんにイラついた。」なんていうのは

自分が手に入れられなかったものをいとも簡単に手にして、

それを自慢してくるヤツを妬ましく思う薄汚い人間じゃんって

ただの八つ当たりじゃんって。

いや、相葉さんは自慢してるつもりはこれっぽっちもなくて

俺が思ってるような“魂胆”なんて多分1つも考えてなくて

翔さんだって、心底嬉しいに決まってて

きっと俺みたいに妬ましいなんて気持ちはもってなくて

本当、俺すっげークズじゃんって思ったら

もう本当に、情けなくて、消えてなくなりたかった。