～箱庭～ワタシとアイツのその頃【N.K】 (ページ47)

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ずっとずっと、報われない頑張りだと思っていた。

何度も何度も、元気になったところで、なんだっていうのさって

どうしようもなく子供みたいな屁理屈をこねて

膝を抱えて1人泣きじゃくった日もあった。

試写会の招待を受けた時、一目見たくてたまらない気持ちと

もしも顔を合わせた時に、

まるで他人みたいに、他人だけど……

アイドルスマイルで「元気そうでなにより」って顔をされたら

そのままただ遠巻きに眺めて「それではさようなら」って顔をされたら

それこそもう本当に、あの夏の日の出来事を

思い出に消化しなくちゃならなくて

アイドルとの素敵な思い出として、消化しなくちゃならなくて

そうなるのが怖くて、行けなかった。

……行かなくたって、思い出にしなくちゃいけない事に変わりはないのに。

もしもあの時、招待を受けて会いに行っていたらどうなっていただろう？

ニノは今みたいに「こっちへおいで」と言ってくれた？

だとしたらあたしは本当、バカだな。

「ごめん、ね……。」

「ん？」

ニノがわたしの肩をつかんで身体から離すと

わたしの顔を覗き込む。

「……試写、行かなくて。」

「今言うのそれ？(笑)」

ニノが笑ってわたしを抱きしめながら

「行けなかったの？行かなかったの？」と聞く。

「……行かなかった。」

それを聞いたニノは、ふふっと笑って

「それなら、いいよ。」と言いながらわたしの頭を撫でてくれた。