トモダチ／コイビト【S.S】 (ページ11)

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「幸せだねぇ。」

「……おう。」

「美味しいねぇ。」

「……うん。」

ケーキを食べ終えた櫻井が「ごちそうさま」と言って

ゴミになった紙とフォークをわたしに手渡す。

それを受け取って、換わりにウェットティッシュを渡すと

櫻井は口も手もがしがし拭いて、またゴミになったそれをわたしに手渡した。

「美味しかった。」

「そうだね。」

「……サンキューです。」

「うん。」

わたしは、残りのケーキがなかなか進まなくて……

この上ない幸せを感じるはずなんだけどな。

外でなら泣けないと思って公園にしたのにな。

櫻井が、ぐすっと鼻をすすった。

「泣いてるの？」

「……失恋如きで泣く男を笑ってもいいぞ。」

「……」

「……ってお前も泣いてんのかよ。」

でも、何で涙が出るのか分からないんだよ。

櫻井を悲しませるちか子先輩に腹が立つからなのか

櫻井がちか子先輩と別れたことが嬉しいからなのか

あぁあ、このまま櫻井の肩にもたれ掛ったりしたら

櫻井は黙って肩貸してくれるかな。

……なんでわたしが借りるんだ。わたしが貸す側じゃないかなこの場合。