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最後に残った一本の缶コーヒーを指差す。
気持ちが解けた君は、難なくそれを俺に
「これ？……は、ダメです。」
って、おい！
翔「はっ！？」
A「最後の1本ですよ？自分の分に決まってるじゃないですか！」
さっ……
おまっ……
翔「この流れでくれない？おかしいだろ！」
A「おかしくないです！櫻井さんにあげる気なんて最初からないですもん！」
そう言って目の前のコイツ
慌てて中身、飲み干しやがった……
そこで意地張るって……
一口だけ飲んで置いてあった缶コーヒーの中身は
まだ満タンに近い状態だったんだろう
飲み干した彼女はぐはっと息を吐いて肩を上下させると
ずずー！と鼻を啜って、はぁ…と溜め息をもらした。
必死なその表情がまた、可愛くて……
あぁ、苛めたくなる……という感情は
もうダメだ、ばっちり俺の中に根付いていて
しばらくは切り離せそうにないわ。
「じゃぁいいや」
そう言って素早く立ち上がれば
彼女はすがるように「あっ」と声を上げ
俺を視線で追いかける。
ほらもう、だから、そういう顔……
そう思ったら俺の身体は、
イタズラ心と溢れる愛情でいとも簡単に彼女に近付き
逃げない彼女の唇に、自分の唇を重ねていた。
甘い、コーヒーの味がする……
身体を離して彼女の瞳を覗き込む。
絵に描いたような目が点がすぐ目の前。
ぽかっと開いた唇をもう一度味わいたくて
「もう1杯ちょうだい？」と問い掛ければ
彼女は慌てて両手で口元を隠し
「ここ職場！！」と叫んだ。
……けっこう、俺のこと好き？Aさん
普通そこで出なくない？そんなセリフ。
「外でだったらいいの？」
意外で素直な彼女の叫びにそう返事をすると
あぁ、なるほど…な視線……分かりやすい(笑)
翔「今夜、飲みに行こうか」
A「へっ？」
翔「外でだったらいいんでしょ？」
俺の言葉に彼女は、少しだけムスッとして頬を染めると
しっかり、こくんと、頷いた。
ぶっ……そこで普通、頷くか！？
ったく、ホントにもう…………可愛いな！
「残業するなよ？」
指をさすと、またこくんと頷く彼女。
「ごちそうさま、また今夜、いただきます」
その言葉に
彼女がキュッっと……唇を噛んだ……
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2016年7月19日 0時
