105話 俺たちの年頃 ページ18
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「あの2人さ、」
どれくらいの時間が経ったのか、眠気で一瞬……かそれ以上？
もやっとしていた頭が、風間くんの声で一気に現実に引き戻された。
目の前の流れるプールには、ちょうど由里子と相葉くんが流れてきていて、
由里子がお姫様座りしている浮き輪に、相葉君は両腕を乗せてそこに頭をもたげ、
視線は合っていないけど、楽しそうに2人で何か会話をしているようだった。
「何だかんだお似合いだよね」
隣にいる風間くんを見ると、うつ伏せの姿勢のせいももちろんある。
あるけれど、見ている先は真っ直ぐにあの2人。
「んー……お似合いというか……何だかんだ……同じレベル……？」
わたしがそう言うと、風間くんが「ぷは！」と笑う。
視線の先の相葉くんは、急に由里子の浮き輪をひっくり返して
由里子がプールの中に落ちていったところ。
大きな口を開けて、相葉くんは笑ってる。
「きっとね、俺たちの年頃の子達はね、
こうやって男女混合で遊ぶと、恋心が芽生えるんだよね」
水から顔を出した由里子は、怒った顔で相葉くんの肩をバシバシ叩く。
叩かれる相葉くんは避けようともせず、相変わらず大きな口を開けて笑っていた。
由里子も途中から、吹き出すように笑い始める。
「Aちゃんはさ、相葉くんにきゅんとしたりしないの？」
相葉くんが水の上で固定した浮き輪に、勢いつけて乗り込む由里子。
そしてまた相葉くんは浮き輪に腕を乗せて頭をもたげて、
2人でプカプカ流れていく。
「……なんで相葉くん？俺にきゅんとしないのって聞かないの？」
「聞くわけないでしょ普通に考えて」
ふはははは！っと笑い合う。
遠ざかっていく由里子と相葉くんを眺めながら。
「じゃぁ逆に聞くけど、風間くんは由里子にきゅんとしないの？」
「ないわぁ」
「わたしには？」
「聞くんだ、普通に」
また2人で、笑い合う。
風間くんが聞きたいこと、言いたいこと。
それがなんとなく、
掴めるようで、でも掴めなかった。
風間くんはわたしと一緒に、由里子と相葉くんの到着を待っている間、
機嫌は至って普通で、特に普段と変わりなかった。
それが突然変わったのは……
由里子と相葉くんが、
朝、2人で一緒に現れたときだった……
笑いが消えて、少しの沈黙が訪れる。
そして風間くんの、いつも通りの優しい声。
「俺ね、もうずっと小さい時から、自分がみんなとは違うって気付いてたんだ」
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2015年10月7日 0時
