22話 永遠の、二番手 ページ23
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side和
智子は俺の愛した、二番目の女だった。
……って言ってもこの田舎に若い女は智子しかいないんだから
そういう関係になるならコイツしかいないでしょ？
それはお互い様なわけ。
だけど意外にもお互いに、ピッタリはまる部分が多いせいで
愛しいと感じてしまって、
智子も、俺を愛してしまって、
それでいろいろと、辛い思いをしたんじゃないだろうか。
俺の中で絶対的一番はAで、
それは絶対にくつがえらないけど、
でもAが俺を思い出さないなら、
もしもそれで俺が1人になるのなら、
たとえ、二番だとしても……
最後まで傍にいてあげられるのは、自分かもしれないと
智子の中にそういう、
義務にも似た、同情のような
危うい愛情が渦巻いていたと思うんだ。
俺もさ、結構調子に乗って、
そんな智子を弄んだ感は否めないよね。
だけど、ね。
潤が、現われて、
あの子が本気で、智子が欲しいと、
ちょくちょくこのド田舎に顔を出すようになって、
貴女を一番愛していますと向けられる愛情と、
お前は一生二番だよと言われ続ける愛情と、
どっちの方が大事にしたいかって一目瞭然でしょう。
それでも智子が素直に潤の胸に飛び込んでいけないのは、
もしも、俺が……って、
可能性を捨てきれないから。
突然、俺を切り捨てるような薄情をするのが
心苦しいから。
……ねぇA、
Aが全てを思い出したら、何もかもうまくいくの。
早く思い出して……
……そう思いながらも、無理やり思い出させようと
何かしらの揺さぶりをかけることが出来ないのは、
短い間でもAを育てている
“親心”が邪魔しているせいなのかな。なんて。
「ごめんな、智子」
「……何が？」
俺の謝罪の言葉を聞いて、智子は疑問系で返事をしながらも
その表情は、俺の謝罪の意味をきちんと理解していて
今にも泣き出しそうに、歪んでいた。
「潤くんと、幸せになってよ」
「……かず……」
「30代後半に差し掛かったオバサン、好きとか言ってくれる若い子はそういないよ？」
それを聞いた智子は瞬時に失笑して、
そして俺の肩を叩いた。
ごめんね。
だけど、ありがとう。
俺が一人ぼっちになった時は、
「ばーか」って、笑ってやってよ。
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2015年5月8日 2時
