轟くんの初恋奮闘大記録 (ページ11)

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第９話　　　ホークス開催第一回、チキチキお悩み相談会① ページ11

大空にその艶めく紅蓮の羽根を羽ばたかせる。

紅蓮の羽根は固くしなやかで美しい。

そんな羽根をもって大空を羽ばたく…………いや、飛ぶのはある一人の男。

名を鷹見啓吾。

世には『ホークス』という名で知られており、No.2ヒーローの座に居座る

この世のヒーロー達の憧れ、トップヒーローである。

彼は速すぎる男。

誰よりも速く、市民の危機をその個性・『剛翼』で感知し、その市民の元へ駆けつける。

ばかりか、その市民の危機でさえ駆けつける時と同様に素早く解決してみせるものだから、

ーーーーー彼は速すぎる男、と呼ばれている。

そんな速すぎる男は、目敏く耳悟い。

妹のように可愛がる(本人は迷惑しているが)少女の危機というか悩みさえ誰よりも速く感知する。

とある休日のこと。

少女はある一人の少年について悩まされていた。

もっとも、その悩みはイケメンである少年に求婚される、という端から見れば贅沢過ぎる悩みだがその裏様々な苦労があるものだ。

その苦労とは割合するが察してほしい。

そんな少女の週に一度のオアシス。

つまり休日、雄英も日曜は休日で寮は許可さえ取っていれば外出もできる。

週に一度のオアシス、今週はどこへ行こう？

意気揚々と一週間計画していた少女のオアシスは、
またもや今度は別の、イケメンである青年にがらがらと音を立てるように壊されたのだった。

イケメンである、青年に。

イケメン。

『聞いてください、私ね、イケメンにいい奴は居ないと思うんですよ。』

少女…………風羽根Aは青年に言った。それもとてつもなく不機嫌な声で。

「へぇ。」

その声に対し不機嫌な事に気づいているくせに青年…………ホークスは飄々とした笑みを変わらず浮かべながら適当に相槌を打った。もうコイツは不機嫌の原因が己だという事などとっくに気がついている。

でもいつもどーり謝罪などくれるはずもないし、こうしてオアシスを邪魔される事だって(本人は迷惑しているが)恒例となってきてしまっているので少女は呆れ、また不機嫌になる。

『…………相変わらずですね？？？

お変わり無いようで。いい年しといて、この人に迷惑をかけるという趣味。早くやめてくれませんかねー。それこそ貴方の誇るこのスピードで。』

大変困惑だが、Aはホークスの腕に捕まって、掴むというより捕まって(重要)、

紅蓮の羽根に包まれながら大空を飛んでいたのだ。