カンパニュラ ページ4
今日は母の日。
私はお母さんに花をあげたい。
けれど、うちにはお金がない―
私は咲優(さゆ)。
うちは貧しくて、お母さんは働きっぱなし…
お父さんは昔、離婚していない。
だから、私とお母さんの2人暮らし。
「ただいま。」
「お母さん!」
「ごめんね。うちが貧しくて…
何もやってあげられなくて…」
「お母さんは、私を育ててくれたでしょ。それだけで十分だよ!」
「ありがとう…咲優…」
私はお母さんを見送って、外へ散歩しに出た。
その時、ふと女の人の声が聞こえてきた。
『”こっちに来て”』
「…え?」
私はその声がしたあと、いつの間にか花屋の前に来ていた。
「いらっしゃいませ。今日は母の日ですね。」
「え…?え!?」
「あなたはお母さんにお花をあげる予定は?」
「…うち、お金がなくて…買う余裕がないんです…」
「それはそれは…じゃぁ、今日は母の日ということで、特別に無料で差し上げましょう。」
「え!?」
さ、詐欺…なのか?
「料金はいいです。あなたの心がお母さんの心を癒せたら、私はそれで幸せなので。」
「で、でも…」
「この花はカンパニュラ。母の日にふさわしい花ですよ。」
「い、いいんですか…?」
「えぇ。」
「…本当に…?」
「…行きなさい。」
女の人は私に花を渡して消えた。
「お、お母さん!母の日…!
いつもありがとう…!!」
「まぁ…!ありがとう!」
お母さんは嬉しそうに泣き崩れ、私を抱きしめた。
「カンパニュラの花言葉は「感謝・誠実・節操」。
あなたも母の日に、お花を渡してみてください―」
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作者名:ルピー | 作成日時:2023年3月8日 14時