第参拾話、感傷 ページ31
敦と谷崎は速攻車に乗り込み、走らせて三十分後。後ろに森を構えている目的の場所に着いた。
適当な場所に停め、車から出た敦がソレを見上げる。
「思ったよりも大きい家ですね…」
「会社自体は昭和からだけど、明治時代から続く家系らしいよ」
一世紀も前という事実に、無意識に唾を飲み込んだ。
二人が訪れた場所は、北原邸＿Aの家だ。
敷地はとても広く、屋敷とも呼べる程の豪邸である。以前は美しかったであろう外観は、六年という月日を経てすっかり廃墟と成り果てている。
すっかり錆びてしまった門扉を押せば、耳を塞ぎたくなるような音がした。
家の扉は開いていた。
外観から予想していたが、洋風な造りだ。
中に入ればすぐに階段が見え、奥には広そうなリビングルームがある。壁には大きな絵が飾られていたり、花瓶が置かれていたりしているが、やはり月日が経っているので汚れや砂埃などが目立つ。
その中には、固まった赤黒い血もあった。新聞での文面からは想像もつかない程、悲惨な事件だと判る。
上から確かめようという谷崎の提案で、階段を登ると半開きの扉があった。自然とその部屋に入れば書斎らしく、いくつかの本棚と奥にある書斎机が堂々と置かれていた。
左右に別れ、部屋を散策する。
骨董品や棚には埃がかぶっていて、蜘蛛の巣もちらほら見えていた。窓の外には青々と茂る木々が広がっていた。
本当に、Aが事件の犯人なのだろうか。
敦は外を見つめながら、やっぱり何かの間違いじゃないんだろうかと思ってしまう。現実逃避をしている自覚はあるのだが、社員達と楽し気に話したりゲームをしたりする姿が頭に浮かぶ。
＿あれは全て、嘘なんですか？
「敦くん。こっち来て」
谷崎の声で我に返る。
小走りで向かうと、書斎机の下を凝視していた。何があるのかと隣に立つが、一目見ただけでは判らない。
だが、注意して見ればソレは現れる。
埃が溜まったこの部屋では絶対ある筈のない、
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RANA(プロフ) - ゆかりさん» 遅くなりましたが続編で来ました！続編でも読んでいただけたら幸いです。 (2021年8月1日 21時) (
レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ゆめのあきさん» そう言って頂けて嬉しいです！ありがとうございます (2021年8月1日 21時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 続き待ってます (2021年7月23日 16時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！ 更新楽しみにしてます！ (2021年7月15日 1時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - らむくんさん» そうなんです……シリアスをシリアスにできずに本当に申し訳ないです切腹 (2020年8月14日 1時) (レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RANA
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時：2020年8月2日 13時
