第肆話、異能力 ページ4
敦は目を丸くする。
驚愕の声は空気となって、あんぐりと口を開けていた。
その様子に、「本当にいい反応してくれるな」とAが苦笑する。
「い、異能ですか?」
「正解」
Aの異能は、手で触れたものを操る操作能力。
自分の意志で操作するか否かは決めることができるが、何かあった場合を考えて直接触れないように黒手袋をしている。
その説明に、「なるほど…」と敦が頷く。
カップはフヨフヨと上空を泳いだ後、ゆっくりと受け皿に戻った。
「ま、こんなの御宅らに比べたら手品と同じようなモンだけどな」
「そうかい?便利な異能じゃあないか」
珍しく太宰が褒める。
「その場から動かずに書類を提出できる」
しょうもなかった。
「お前はまず書類仕事をやれ!」
「くにきーだくん。あんまり怒っていると頭にキノコが生えてしまうよ」
「お前の口車にはもう騙されんぞ!大体、」
またしても国木田の説教が始まってしまった。
休憩終了時間となったAは全員分のカップと
敦の携帯だ。
ポケットから取り出し、「はい、敦です。あっ、谷崎さん」と相手と話し出した。次第に真剣な表情に変わっていく敦に、国木田も太宰も黙る。
敦が電話を終える。
「軍警からの依頼です。海外犯罪組織のことで」
「またか…」
「懲りない連中だね。そろそろ面白い事件が来て欲しいんだけど」
衝突した探偵社にも襲撃を仕掛ける組織もいて、休む暇もない。
重い腰を起こし、会計を済ます。
「大変だな。お代わりの珈琲は俺の奢りにしとくよ」
「おや、ありがとう」
「お前は早くツケ返せ」
呆れるAの名を国木田が呼ぶ。
「うずまきも気をつけてくれ。以前のような事があると、お前達も巻き込まれるかもしれん」
「あの時、俺は試験だったからな…事情は後から聞いたけど、本当にありがとう。今度改めてお礼するよ」
頑張れ、と手を振る。
手を振り返した四人は、探偵社がある三階へと繋がる階段を登った。
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RANA(プロフ) - ゆかりさん» 遅くなりましたが続編で来ました!続編でも読んでいただけたら幸いです。 (2021年8月1日 21時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ゆめのあきさん» そう言って頂けて嬉しいです!ありがとうございます (2021年8月1日 21時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 続き待ってます (2021年7月23日 16時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです! 更新楽しみにしてます! (2021年7月15日 1時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - らむくんさん» そうなんです……シリアスをシリアスにできずに本当に申し訳ないです切腹 (2020年8月14日 1時) (レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2020年8月2日 13時