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第弐拾漆話、矛盾 ページ28

「執行者」


ふと聞こえてきた静かな声に、全員が顔を上げる。視線を向けた先にいる太宰は、両手を絡め、ジッと何かを考えているようだった。

わずかだが、眉間に皺が寄っている。珍しい表情に、「どうかしたんですか?」と谷崎は思わず尋ねた。


「…彼は、"執行者"と名乗ったそうだ」

「それがどうしたんだ」

「私がマフィアにいた頃、何回か耳にしたことのある異名なのだよ。かなり有名な、裏社会での御伽噺のようなものでね」


ぽつりぽつり、と語り出す。


"執行者"
それは、世界の『正義』と『悪』の均衡を護る"四つの柱"のことを差す。


凡る対義のバランスを正すため、世界にとって邪魔などちらかを排除し、均衡を護っている。それが一人の人物をさすのか、組織をさすのかは、限られた人間にしか知らされていない。


裏社会では"執行者に目を付けられてはならない"という言葉があった。暗黙の了解として裏社会なりの限度(・・)を守ってきた。


少しでもバランスが傾けば、組織の一つや二つ、簡単に吹き飛んでしまう。


これは裏社会だけではない。例に上げた裏社会は執行対象が比較的多かっただけで、他の業界でも執行された組織や人間はいる。


_という話を、森が新人首領として苦労していた際に教えられたのだ。


もし、これが本当ならば。
現在横浜で起きている事件は、本来なら世界の均衡を保たなければならない"執行者"が、均衡を崩そうとしているという事になる。隠密に、静寂を持ってして行わなければならないのに。


そこで、太宰は考えた。


「これは私の予想だが……彼は"執行者"ではあるが、"執行者"ではない」

「え?」

「彼一人で成り立つのではなく、北原家そのものが"執行者"なのだよ」

第弐拾捌話、不可解→←第弐拾陸話、亡霊



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RANA(プロフ) - ゆかりさん» 遅くなりましたが続編で来ました!続編でも読んでいただけたら幸いです。 (2021年8月1日 21時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ゆめのあきさん» そう言って頂けて嬉しいです!ありがとうございます (2021年8月1日 21時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 続き待ってます (2021年7月23日 16時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです! 更新楽しみにしてます! (2021年7月15日 1時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - らむくんさん» そうなんです……シリアスをシリアスにできずに本当に申し訳ないです切腹 (2020年8月14日 1時) (レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2020年8月2日 13時

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