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その地に轟ぐ三つの声とは。 ページ8

No side

龍が光弾を放とうと口を地上に向けた。

瞬間、首元に黒龍が噛み付いた。
鋭く黒い牙は鱗さえも貫いて食い込んでいる。その痛みに耐えられるわけもなく、龍は光弾を口に留めたまま体躯をうねらせようとした。

だが黒龍自身が体躯に巻き付き、暴れないよう硬く固定されていて身体は動かない。


耳鳴りのような悲鳴が雷のように轟ぐ。


Aは角から帯状の影を創り、自身の腕と腰に巻いた。痛みも伴う痺れは全身に回り、掴む事は愚か意識を保つのにも必死だ。

龍が暴れようとするたび黒龍でそれを防ぎ、体に電流が走る。

それでもAの笑み絶えない。
八重歯を見せ、口角は上がり、深い金色の瞳は肉食獣が同類の獣を狩ろうとするそれと同じくらいに鋭い。


最早龍とAの粘り勝負だ。


けれど所詮は異能と人間の力比べ。
何方が強いかと言えば矢張り異能になってしまう。

龍の咆哮が空気を揺らし、痺れを切らしとうとう光弾を放とうとした。


その時、霧を蹴散らしながら何かを手にする中也が現れた。

中也が手にしているそれは__ビル。


三十階はあるであろう高層ビルを重力を使って持ち上げてきた。


ぐらぐらと揺れる視界の中、Aはそれを見て笑う。
理性も知性も失った異能の化身だというのに、中也はやっぱり中也だった。


『そのまま、やっちまえ』


全身の力を抜き、角から手を離す。
同時に黒龍の姿は文字の羅列に包まれると砂城が崩れるように消えた。


直後中也は高層ビルの先端を龍に向け、そして光弾があるその口に、まるごと押し込んだ。


激震が起き、空気と地上を揺らす。

ビルを突っ込まれ龍の中に光弾が押し入れられる。行き場を失った光弾は圧し潰され、内部で爆発した。


龍の身体を穿ち、閃光が走る。
眼が焼かれるような光が骸砦全体を覆う。


その中で、中也が叫ぶ声が大気を震わせていた。

メインディッシュをどうぞとは。→←黒龍の主とは。



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RANA(プロフ) - 夜月銀桜さん» ありがとうございます!再更新の日にまたお会いしましょう!! (2020年1月30日 0時) (レス) id: 96770a17e2 (このIDを非表示/違反報告)
夜月銀桜(プロフ) - お疲れ様でした!また10を楽しみにしています! (2020年1月29日 21時) (レス) id: 8b1129a01c (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ぴのさん» ありがとうございます!!徳永は相変わらずのおにぎりキャラメルペースです!←この子はずっとこんな調子です←←あともう少しで終結へ…それまでよろしくお願いします。 (2019年12月11日 0時) (レス) id: 96770a17e2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - RANAさん続編おめでとう&スター作者おめでとうございます!徳永ちゃん相変わらずマイペースね……性格がぶれないからほんとに好きです! (2019年12月9日 15時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - I am gotさん» ありがとうございます。期待に応えられるよう頑張ります! (2019年12月9日 0時) (レス) id: 96770a17e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2019年12月5日 16時

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