混沌の誕生とは。 ページ48
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ドラコニアを無数の赤い螺旋が走る。
幾千もの異能を取り込んだ光球は、輝きを一層強めた。
それをドストエフスキーは気分良さげに眺めていた。
ふと、後ろで何かが浮き上がるのを感じ振り向く。
光球に飲み込まれるかのように宙を浮く太宰だ。
「君は欲張りだな、太宰くん。死して尚、この街の終末を見届ける気か」
赤い光球に太宰が飲み込まれる。
直後、爆発的に光が周囲に広がり、窓硝子が砕け散った。
そして光は外へ飛び出し、骸砦を囲む。
それを見届けたドストエフスキーは手の中にいる髑髏に語りかけた。
「貴方に僕と言う初めての友達が出来た記念に、善い事を教えましょう。この霧の中で、何故僕の異能が分離しないか考えたことは無かったのですか?」
問いに答えるように、足音が後ろから聞こえてきた。
ドストエフスキーと同じ容姿をした"彼"は、床に落ちていた林檎を拾う。
その手には赤い結晶が煌めいた。
林檎を持つ"彼"と髑髏を持つドストエフスキー。
2人は背中合わせになって囁く。
「僕は罪」
「僕は罰」
どこか艶めかしい声がドラコニアに響く。
「知ってるかい?」
「罪と罰は仲良しなんだよ」
2人のドストエフスキーが嗤う。
「境界が消滅する」
「部屋が目覚める」
甘い言葉を吐いて赤い光を唆す。
「終焉の化身、異能を喰らう霧の王」
「本能そのままに、暴れ、喰らい、吠えたけりなさい」
紫水晶の瞳が怪しく歪み、唇が弧を描いた。
2人の誘いに導かれるようにして、党から光が溢れ出る。
溢れた光は膨らみ、そしてひとつの巨大な生物へと形を変えていく。
蒼い満月の下で、"それ"は生まれた。
蛇のような体躯に、月光を浴びて輝く鱗、長い鬣。
伝説の生物__龍は咆哮を上げた。
「これは暴走でも特異点でもない。龍こそが、異能が持つ混沌の本来の姿なのです」
もう一人のドストエフスキーは消え、手の中に髑髏はない。
其処にいたのは、腕にAを優しく抱いた
腕の中で眠る少女に微笑んだ悪魔は、踵を返しその場を去った。
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美喜 - すみません!冗談が上端になってます。 (2018年9月11日 20時) (レス) id: abfcbd5bcc (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - さくら海さん» わざわざありがとうございます!直してきますね (2018年9月4日 11時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
さくら海(プロフ) - 誤字を見つけたので、すみません!昨日の影踏み、が、いのうになってます! (2018年8月30日 21時) (レス) id: 3420adefd8 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - 表情筋ニートさん» こちらこそ、読んていただきありがとうございます!心のオアシス「参謀とは。」頑張ります笑 (2018年8月21日 13時) (レス) id: 6db7f9f3bc (このIDを非表示/違反報告)
表情筋ニート(プロフ) - 面白い作品ありがとうございます。私も文ストのアプリやってます。どのキャラクターも可愛くて、かっこよくて、心のオアシスですwこの作品も私の心のオアシスのひとつです!これからも応援しています。更新頑張ってください! (2018年8月17日 0時) (レス) id: 2d1443bf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年3月27日 0時