生きる為の爪とは。 ページ47
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「そうです」
閉ざされた記憶の中を旅する澁澤に、ドストエフスキーは一人頷いた。
最早この空間に立っている者はドストエフスキーだけだった。
手にある髑髏を見下ろす。
直後、髑髏に塗られていた塗料が音を立てて剥がれ落ちた。
現れたのは真っ白な髑髏。
そこには深い爪痕が残っていた。
六年前、
「あの時、貴方は死んだ」
ドストエフスキーは髑髏に語る。
「そして貴方のコレクションを引き継いだのは、死体から分離した貴方の異能だったのです」
澁澤の意思を受け継いだ異能は生き続けた。
己の野望を叶えるため。
自身が
ドストエフスキーは髑髏を掲げる。
すると、部屋が何かに目覚めたかのように反応した。
床に隠されていた無数の異能が怪しく光る。
「死の事実を忘れ、自分を収める部屋を自ら管理する蒐集品...それが今の貴方です。貴方は虎に爪を立てられ、殺されてしまったのです」
「あの時僕は爪を立てた、あの時僕は爪を立てた、あの時僕は爪を立てた、あの時僕は爪を立てた、あの時僕は爪を立てた__」
呪いの言葉を繰り返すかのように、敦は自分を責め続けた。
すると向かいにいる澁澤__いや、澁澤の容姿をした澁澤の異能がぽつりと呟いた。
「あぁ、あの時君は私を殺した」
その言葉を聞いた瞬間、敦の中で何かが爆発した。
__僕が悪いのか?
__違う。
__違う違う違う違う違う違う!!
__だって、だってあの時僕は...!
「だって爪を立てるだろ!」
虎の咆哮の如く、敦は叫んだ。
「だって僕は生きたかった!何時だって少年は、生きる為に虎の爪を立てるんだ!!」
ガタンッと、何処かで閂が外れる音がした。
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美喜 - すみません!冗談が上端になってます。 (2018年9月11日 20時) (レス) id: abfcbd5bcc (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - さくら海さん» わざわざありがとうございます!直してきますね (2018年9月4日 11時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
さくら海(プロフ) - 誤字を見つけたので、すみません!昨日の影踏み、が、いのうになってます! (2018年8月30日 21時) (レス) id: 3420adefd8 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - 表情筋ニートさん» こちらこそ、読んていただきありがとうございます!心のオアシス「参謀とは。」頑張ります笑 (2018年8月21日 13時) (レス) id: 6db7f9f3bc (このIDを非表示/違反報告)
表情筋ニート(プロフ) - 面白い作品ありがとうございます。私も文ストのアプリやってます。どのキャラクターも可愛くて、かっこよくて、心のオアシスですwこの作品も私の心のオアシスのひとつです!これからも応援しています。更新頑張ってください! (2018年8月17日 0時) (レス) id: 2d1443bf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年3月27日 0時