【文スト】参謀とは。白編【DEAD APPLE】

閉ざされた過去とは。 ページ46

No side


悲鳴を上げ続ける少年＿＿敦の胸に青白い光が生まれた。
それは形を変え、青白い結晶となった。

「おぉ」と澁澤の口から歓喜の声が漏れる。


けれど異変が起こった。


敦の悲鳴が突然止まり、目を剥いた。

見開かれた瞳はどこか獣染みたをしている。
細い手足は太く逞しい虎の脚へと変わり、拘束器具をいとも簡単に破いた。

敦の奥深くに眠る虎が目を覚ましたのだ。


この力(異能力)は渡さないと言わんばかりに、分離された結晶をのみ込み、再び敦の中へ取り込んだ。
そして完全なる白虎へと姿を変えた。


焦る澁澤だがもう遅い。

白虎は鋭い爪を立て、振り降ろした。


鋭い音と共に、澁澤の顔に深い爪痕が走る。

赤い血飛沫が地下室に舞った。









「思い出した」


何故白い扉が自分の中にあったのか。

それは閉ざしていた記憶だったからだ。


何故忘れていたのか。

それは忘れたかった記憶だったからだ。


何故忘れたかったのか。

それは＿＿


「あの時僕は爪を立てた、あの時僕は爪を立てた、あの時僕は爪を立てた、あの時僕は爪を立てた、あの時僕は爪を立てた、」


まるで呪いの言葉のように幾度も繰り返す。
その向かいに、澁澤も自分の遺体を見下ろしながら呟いた。


「あの時私はスイッチを押した」


澁澤も全て思い出した。


六年前、敦から異能を取り出そうとした末に反撃され殺されたことを。

そして、敦を狙った理由を。


「君の異能が、凡ての異能者の欲望を導く異能だと聞いたからだ。フョードルという露西亜人から...」

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