検索窓
今日:38 hit、昨日:55 hit、合計:394,064 hit

協力者とは。 ページ40

No side


無言で結晶を眺めていた太宰の後ろで錠がかかった音がした。

目を向ければ、ドストエフスキーの手に鍵があった。


「計画通りですね」

「あぁ、計画通りだ」


太宰が静かに頷いた。


『彼奴に気づかれずに此処まで来るのはホント苦労したよ...ただでさえキャラメルとおにぎり不足で死にそうなのに』


ドラコニアの縁を歩きながらAが言った。


ドストエフスキーはゆったりとした仕草で歩いた。
それに続いて太宰もゆっくり歩きながら「ところで」とドストエフスキーに目を向けた。


「君が私と組んだ本当の目的は何だい?」

「僕にとっての世界のあるべき姿を求めただけの事です。ただ、余興は多い方が善いでしょう?」


ドラコニアの中央にある台座の前まで来た。

しかし2人は歩きを止めずすれ違う。
すぐ近くで立ち止まり、振り向きもせず太宰が口を開いた。


「道化は誰かってことか?」


そっと目を伏せ言葉を続ける。


「君と組む事は不本意だが、澁澤を道化にするには仕方がなかった。何しろ奴は、日本政府すら手玉にとった男だ」


漸くドストエフスキーの方に振り返った。


ドストエフスキーは背を向けながら薄い笑みを浮かべる。


「彼は太宰くんとAさんの案内があろうとなかろうと、最初からこの横浜で霧を熾す気でしたからね」


2人の元にAが二つの異能結晶体を持って近づいて来た。

ドストエフスキーの前まで来るとそれを差し出した。


『これでいい?』

「えぇ、ありがとうございます」


Aから異能体を受け取った。
手の上で爛々と赤い輝きを放っている。


それを今度は太宰の前へ差し出した。

そして二つの異能について説明し始めた。


「一つは見える範囲の異能者を一ヶ所に集める結晶体。もう一つは触れた異能力者同士を混合し、一つの異能にする結晶体。
この二つでコレクション全て吸収すれば、エネルギー源は絶たれ、霧を維持できなくなります」


澁澤が横浜全域を覆う程の霧を生み出し、維持し続けれたのは、此処にある膨大な量の結晶体のお陰だった。
ならばその全ての結晶体を集め、まとめて異能化すれば霧も消えると考えた。

その計画を一人で実行することは不可能。

だからこの三人が集い、手を組んのだ。

踊り舞う結晶とは。→←戻らない異能とは。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (395 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
891人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

美喜 - すみません!冗談が上端になってます。 (2018年9月11日 20時) (レス) id: abfcbd5bcc (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - さくら海さん» わざわざありがとうございます!直してきますね (2018年9月4日 11時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
さくら海(プロフ) - 誤字を見つけたので、すみません!昨日の影踏み、が、いのうになってます! (2018年8月30日 21時) (レス) id: 3420adefd8 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - 表情筋ニートさん» こちらこそ、読んていただきありがとうございます!心のオアシス「参謀とは。」頑張ります笑 (2018年8月21日 13時) (レス) id: 6db7f9f3bc (このIDを非表示/違反報告)
表情筋ニート(プロフ) - 面白い作品ありがとうございます。私も文ストのアプリやってます。どのキャラクターも可愛くて、かっこよくて、心のオアシスですwこの作品も私の心のオアシスのひとつです!これからも応援しています。更新頑張ってください! (2018年8月17日 0時) (レス) id: 2d1443bf10 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2018年3月27日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。