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蒐集者の自信とは。 ページ36

No side


「私にとって他人は、見知った機械が詰まった肉袋に過ぎない」


澁澤は突然そう語り出した。

棚に飾られた結晶石を見ながら歩く。


「全てが自明で、全てが退屈だった。だが、この私にも理解に及ばぬ人間がいた」


歩みを止め、振り返った。


「私だ」


その表情は真剣そのものだった。


太宰、ドストエフスキー、Aの3人は黙って澁澤を見た。


「この頭の中には、私自身にも読めない...小説の文章と文章の間の"行間"のような部分がある」

『...あのさ、君友達いないでしょ。てかいないよね』


若干、というかかなり引いた顔でAが言った。
疑問形を使わないあたり、彼女の中では確定らしい。


澁澤は目を閉じ、緩く笑んだ。


「友人など人生に不要だ。どのような他者の心も判るのだから」


つまり、いないということだろう。
澁澤に言わせれば、"作らない"が正しいのだが。

端から聞けば寂しい人の台詞である。


自信に溢れた表情で言葉を続けた。


「私は必ずや私の行間、空白の向こう、更なる世界へ行く事が出来る」

「...本当に友達がいたら、そんな事は言わないよ」


太宰がつまらなそうに呟いた。

その隣では、Aが可哀想と思うのを通り越して呆れていた。


『いたとしてもこんな友達欲しくない』

「逆に貴方はいるのですか?」

『ぶっ飛ばすぞ』


本当に女なのかと疑う程の低い声に、ドストエフスキーは「失礼しました」と微笑んだ。

意外にも失礼な奴だ。


にしても、ドストエフスキーはいるのだろうか。

考えただけでも嫌になってくる、と思ったのかAはドストエフスキーに聞かずただ睨んだ。
ドストエフスキーは相も変わらず微笑んでいる。


一方、澁澤はそんな2人に見向きもせず、再び口を開いた。


「その時は間もなく訪れる...この横浜の異能は全て、すぐ私のものになるのだから」


他者を信じず、ただ己を信じて未来を見据える。
理由は単純だ。


澁澤は太宰の元へ行き顔を覗き込む。

そこには悪魔の微笑があった。


「自分の異能に勝てる人間が、一人でもいると思うか?」

白刃と銀刃とは。→←白陣営ver.徳永のイラスト6



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美喜 - すみません!冗談が上端になってます。 (2018年9月11日 20時) (レス) id: abfcbd5bcc (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - さくら海さん» わざわざありがとうございます!直してきますね (2018年9月4日 11時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
さくら海(プロフ) - 誤字を見つけたので、すみません!昨日の影踏み、が、いのうになってます! (2018年8月30日 21時) (レス) id: 3420adefd8 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - 表情筋ニートさん» こちらこそ、読んていただきありがとうございます!心のオアシス「参謀とは。」頑張ります笑 (2018年8月21日 13時) (レス) id: 6db7f9f3bc (このIDを非表示/違反報告)
表情筋ニート(プロフ) - 面白い作品ありがとうございます。私も文ストのアプリやってます。どのキャラクターも可愛くて、かっこよくて、心のオアシスですwこの作品も私の心のオアシスのひとつです!これからも応援しています。更新頑張ってください! (2018年8月17日 0時) (レス) id: 2d1443bf10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2018年3月27日 0時

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