髑髏に4つの林檎を添えましょうとは。 ページ23
No side
街を見下ろすかのように聳え立つ黒い塔。
その下には雲海の如く深く濃い霧があった。
青白く輝く月が黒い塔と霧を照らす。
黒い塔の最上階にある広間に太宰はいた。
白い外套を羽織り、硝子張りの壁から外を見ていた。
すると、後ろから声をかけられた。
靴音を響かせて近づいてきたのは、白髪に赤い目をした男__澁澤龍彦だ。
「そんなものを見ていて退屈ではないのか?」
「退屈?」
「あぁ、私は退屈だよ」
二人の間にある丸いテーブルには髑髏が飾られていた。
まわりには赤く艶やかな林檎が4つ、髑髏を彩るかのようにあった。
そのうちの2つには銀色のナイフが刺さっている。
澁澤はそのテーブルにゆっくりと近づきながら、囁くように話を続けた。
「一面の白と虚無...ざらつきしかない世界。今夜この横浜凡ての異能が私のものになるだろう」
つまらなそうに言った。
「私の頭脳を超え、予想を覆す者は今回も現れない...実に退屈だ」
「私も昔、同じように退屈していたよ」
太宰は窓の外を見つめながら言った。
「どう乗り越えた?」
「口で言うより、やってみせた方が早い」
漸く澁澤の方を振り向き、テーブルに近づく。
悠然とした仕草で、テーブルを囲むようにして並べられた4つの椅子のうちの1つに座った。
澁澤は太宰を見つめたまま何も言わない。
「ほら。現に今、君は私の真意が判らない。君に協力しているのか、利用して裏切る気なのかも」
太宰が穏やかに言った。
視線は澁澤に向いておらず、声からは太宰の本心が読み取れない。
果たして何方なのだろうか。
けれど澁澤は挑発的な笑みを浮かべた。
「読めないと思っているのは君だけだ」
太宰はそっと目を伏せる。
「やはり君には救済が必要だ」
「誰が私を救済できると言うのかな」
「さぁ...天使か、それとも悪魔か」
「僕に言わせれば、お二人とも筒抜けですよ」
第三者の声が聞こえてきた。
楽しげに笑って2人を見た。
「そんな嘘では戯曲は紡げない。観客も興醒めです」
「"魔人"フョードルくん」
澁澤が和やかにドストエフスキーを迎える。
「君にも踊ってもらおう。私の協力者として」
「協力?彼が裏切る可能性が一番高いよ」
「全くその通り」
太宰の言葉にドストエフスキーが愉快に同意した。
いつの間にか、ナイフが刺さった林檎が3つに増えていた。
あと1つの林檎は__
『私には腹黒集団のお茶会にしか見えないんだけど』
891人がお気に入り
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美喜 - すみません!冗談が上端になってます。 (2018年9月11日 20時) (レス) id: abfcbd5bcc (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - さくら海さん» わざわざありがとうございます!直してきますね (2018年9月4日 11時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
さくら海(プロフ) - 誤字を見つけたので、すみません!昨日の影踏み、が、いのうになってます! (2018年8月30日 21時) (レス) id: 3420adefd8 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - 表情筋ニートさん» こちらこそ、読んていただきありがとうございます!心のオアシス「参謀とは。」頑張ります笑 (2018年8月21日 13時) (レス) id: 6db7f9f3bc (このIDを非表示/違反報告)
表情筋ニート(プロフ) - 面白い作品ありがとうございます。私も文ストのアプリやってます。どのキャラクターも可愛くて、かっこよくて、心のオアシスですwこの作品も私の心のオアシスのひとつです!これからも応援しています。更新頑張ってください! (2018年8月17日 0時) (レス) id: 2d1443bf10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年3月27日 0時