【文スト】参謀とは。白編【DEAD APPLE】

異能特務課からの依頼とは。 ページ22

No side


「繋がりそうです」


白黒の画面に人の形が現れた。


「聞こえますか？福沢社長ですか？」

「捜査員の国木田です。社長は現在行方知れずです。其方は異能特務課で間違いないですか？」


漸く接続が安定したのか、砂嵐が消えた。

丸眼鏡を掛けた男＿＿特務課の坂口安吾の姿が映った。


「国木田さん、現在其方はどういう状況ですか？」

「俺以外には、此処に中島敦と泉鏡花がいます。それ以外の社員は行方不明です」

「了解しました...回線が不安定なので手短に話します」


三人の間に緊張が走った。


「例の霧の現象が、この横浜でも起こってしまいました」


直後、画面に衛星で取ったであろう日本の上空の写真が映った。
徐々に拡大され、神奈川県全体の画像となり、横浜の場所が霧に包まれている。


拡大は止まっているものの、ほぼ横浜全域が霧に覆われ、外部と遮断された状態にある。
横浜内部の異能力者以外の人間の殆どが行方不明。
そして異能力者にも危機が迫っている。

安吾の説明に、国木田が硬い表情でその説明に同意した。


「此方でも確認しました。この霧の中では、異能力者から異能が分離し、持ち主は殺そうとします」

「...幸い、この現象の元凶と思われる異能力者の居場所は特定しています」


画面が切り替わり、先程と同じ横浜の衛星写真となる。

霧の中心を赤い光点が示した。


「横浜租界のほぼ中心地、躯砦と呼ばれる、廃棄された高層建築物です」


安吾の説明に合わせて画面に不気味な形をした漆黒の党が映し出された。

どこか禍々しさを感じさせた。


「やはり、例の澁澤龍彦ですか？」


敦の頭の中に、夢に出てきた白い扉が蘇った。
それは開けてはいけないような気がして、けれども無償に気になる。


「貴方がた探偵社に重要な任務を依頼します」


その声で思考が停止し、現実に引き戻された。


「首謀者である澁澤龍彦を排除してください。方法は問いません」


敦が息を飲んだ。
隣で鏡花が目を細めた。


「...それと、これは補足ですがその首謀者と同じ場所に、どうやら太宰くん、そしてポートマフィア参謀の徳永Aがいるそうです」


国木田の眉がピクリと動いた。

何故二人が其処にいるのだろう。


敦はもしかして、と思い声を上げる。


「捕まってるってことですか？」


その言葉に安吾の表情に初めて動揺が見えた。


「このままでは横浜が全滅します。貴方達だけが＿＿」


安吾の声が途切れ、画面が砂嵐になった。

髑髏に4つの林檎を添えましょうとは。→←目の前に現れた異能とは。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す