黒獣と影とは。 ページ18
No side
激しい衝突が続いた。
二つの黒刃が火花を散らす。
お互い、勝ちを譲る気は全くない。
『羅生門』が黒き獣に変化した。
獣がAを食い千切ろうと牙を立て遅い来る。
Aは身を翻し、影の壁で防いだ。
「何故反撃しない」
芥川が攻撃を繰り返しながら言った。
『反撃も何も、龍くんの攻撃は見えてるんだから防げばいい話。喧嘩して全勝していたのが懐かしいねぇ』
ニヤリ、と不敵に笑った。
気に入らなかったのか、芥川は額に眉を寄せ舌打ちした。
再び黒獣が牙を立て襲って来た。
Aは壁を作り、それを制した。
筈だった。
ピキッと壁に亀裂が走った。
亀裂は全体に広がり、やがて音を立てて崩れた。
噛みつかれる直前に体を捻って避け、黒獣の顎を蹴り上げた。
そして後ろに飛び、芥川と距離をとる。
上を見れば、月が薄い雲に隠されていた。
「貴様の異能は影を操る能力。その根源となる光が薄まれば影の威力も落ちる。特に夜に雲があれば、僕等にとって有利」
ゴホッと咳をしながらAを見る。
Aは服に付いた砂埃を払った。
払い終わると「ありゃりゃ」と言いながら笑った。
『確かにこうなると私の異能は不利だ。けど、手は他に幾らでもある。例えばこれとか、ね?』
その手には、いつの間にか閃光榴弾があった。
安全装置は既に外されていた。
閃光が放たれ、爆轟音が響き渡った。
その場から離れたAは少海岸沿いに来た。
潮風が心地良い。
目を閉じて堪能していると、後ろで人が動く気配がした。
『...ずっと見てたでしょ、中也』
後ろを振り向けば、不機嫌そうな中也がそこにいた。
「手前...如何いうつもりだ?」
二人の間を風が通り過ぎた。
静かに互いを見つめ合う。
突如、緑色の霧が現れた。
それは徐々に濃さを増していく。
沈黙後、Aは眉を下げて微笑んだ。
『やるべき事をしてくるだけだよ』
霧がAを包み込み、姿を消した。
中也は何も言わず、踵を返してその場を去った。
数十分後、横浜は霧の都と化してしまった。
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美喜 - すみません!冗談が上端になってます。 (2018年9月11日 20時) (レス) id: abfcbd5bcc (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - さくら海さん» わざわざありがとうございます!直してきますね (2018年9月4日 11時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
さくら海(プロフ) - 誤字を見つけたので、すみません!昨日の影踏み、が、いのうになってます! (2018年8月30日 21時) (レス) id: 3420adefd8 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - 表情筋ニートさん» こちらこそ、読んていただきありがとうございます!心のオアシス「参謀とは。」頑張ります笑 (2018年8月21日 13時) (レス) id: 6db7f9f3bc (このIDを非表示/違反報告)
表情筋ニート(プロフ) - 面白い作品ありがとうございます。私も文ストのアプリやってます。どのキャラクターも可愛くて、かっこよくて、心のオアシスですwこの作品も私の心のオアシスのひとつです!これからも応援しています。更新頑張ってください! (2018年8月17日 0時) (レス) id: 2d1443bf10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年3月27日 0時