【文スト】参謀とは。7

安心とは。 ページ48

No side


ポートマフィアは今宵、森の快癒祝いでと或るホテルの会場を貸し切った。


天井には光り輝くシャンデリア、豪華な食事に酒、正装姿の構成員達。

それぞれ招宴(パーティ)を楽しんでいるが、どこか浮かない顔をしている。
特に、


「中也さん、生きてます？」

「なんとかな」


中也は立原から葡萄酒を受け取りながら答えた。
今にも魂がポロッと抜けそうだ。


乱歩の策略によってポーの本の世界へ行った。
内容は勿論推理小説。登場人物は千人でその半分が殺人鬼、犯人を弁別しなければ現実世界には戻れない。

中也にとって苦以外の何もなかった。


最終的に全員張り倒して外に出る結論に至った。

出られたのもついさっきで、休む暇も無く正装に着替え会場に来たのだ。


その話に立原は苦笑する他ない。


「あの、中也さん」


呼ばれ振り返れば、樋口が暗い顔をして立っていた。
斜め後ろには銀と広津もいる。


「徳永さんはまだ、見つかっていないんでしょうか」

「…らしいな。ッたく、勝手にいなくなりやがって」


病室から忽然と姿を消したA。

太宰と共にドストエフスキーを捕らえた、という報告を聞いたが、その後の行方は知らされていなかった。


「私の、せいで…」

「君を守ったのは彼女の意志だ。自身を責めるということはAを責めているということにもなる」


広津の言葉に「ですがっ…」と言葉を詰まらせる。


立原は拳を握りしめ唇を噛む。


「どこ行ったんだよ、姉貴…！」

「A、彼処の西洋菓子(ケーキ)食べましょ！」

『走らずとも西洋菓子(ケーキ)は逃げませんよー』


楽しそうな声が聞こえてきた。

一同の動きが停止する。


少しの間が空き、いやいやと首を横に降った。


「今のは幻聴でしょうか」

「嗚呼、きっと疲れとかで聞こえちまったんだ…」

『アッやばいこの西洋菓子(ケーキ)美味しすぎる』


その声に全員が振り返った。
視線の先には西洋菓子(ケーキ)を頬張る正装(ドレス)姿のA。

目が点になるとはこの事だろう。


突き刺さる視線にAも気づき、「あはは…」と眉を下げて笑う。


『えーっと、心配かけてご＿＿』

「徳永さん生きてるうううう！！」

『ちょ、落ち着＿＿』

「この野郎莫迦阿呆姉貴！！何処にいやがった！？」

『ちょ、たっちー首、首締まって…ちょ、待って銀ちゃん！？』


Aは中也と広津に助けを求めて手を伸ばす。
それは華麗に無視された。

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