思想家とは。 ページ40
No side
数時間前、Aが入院するその病室。
男はAの手の上に掴まれていない方の手をそっと重ねた。
「普通の人間ならまだ眠ってるよ」
『生憎、"普通の人間"じゃ、ない、からね…』
弱々しくも、何時ものようにへらっと笑った。
その様子に男__中野は苦笑し頭を撫でた。
中野は今迄米国にいた。
だがある人物からの連絡で『共喰い』やAの状態を知り、急遽日本に戻ってきた。
頭や手、腕などに巻かれた包帯を見つめる。
生きていてよかったと、心底思った。
本来、特務課がマフィアに対し抱いてはいけない感情。
けれどAは"彼"の生き形見だから。
まぁ、簡単に死なないのは判っているのだが…相変わらずの生命力だと、安堵の笑みを浮かべた。
『重治、さん…頼み、がある』
そう言われ、Aに目を向ける。
笑みは消えていて、瞳は真っ直ぐ中野を見ていた。
『契約を、頼みたい』
契約__それは、中野の異能を指していた。
中野の異能『思想家とシナリオ』
その内容は"物事の実行を可能にする"能力。
例えば、太宰の異能無効化を無効化したいとする。
それを中野は実行することも、その力を相手に宿すことが出来るのだ。
けれど"条件"がいる。
一つ目は、中野と契約すること。
2つ目は__
「…何をくれる?」
相応のものを中野に与えること。
中野が物事の実行を可能にするにはそれ相応の"
3つ目は__
『ドストエフスキーの、首。彼奴を必ず捕まえて、特務課に引き渡す』
「…じゃあ、それに失敗したら?」
失敗の場合のものを中野に与えること。
物事を実行したとしてもそれに失敗してしまった場合の"
他にも、物事によっては体の消耗が激しかったり眠気に襲われたり等が科せられる。
そして契約を放棄した場合、相手は死に至る。
3つの条件を
失敗すれば、自身には
成功するか失敗するか、
この場合、A次第なのだ。
Aはニヤリと口角を上げる。
『私の首』
「…わかった」
中野は一歩後ろに下がる。
胸ポケットから手帳を取り出し、万年筆で綴りながら言葉を唱えた。
途端、文字の羅列が2人を包み込んだ。
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玲佳(プロフ) - 凄く面白かったです! (2019年12月31日 19時) (レス) id: 30c7137208 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ちびうささん» そう言っていただけて光栄です。イラスト…!!是非お願いします、ありがとうございます!!待ってます(正座)更新頑張りますね! (2019年1月29日 0時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)
ちびうさ(プロフ) - この小説シリーズ面白くてあっという間に読んでしまった、、、。私ツイッターとかでお絵かきしてるのですがよろしければ参謀ちゃんのイラスト描かせていただきたいです!!更新楽しみに待ってます!!! (2019年1月27日 17時) (レス) id: f5433967f3 (このIDを非表示/違反報告)
はつり(プロフ) - RANAさん» もちろんです!ありがとうございます〜 (2019年1月18日 20時) (レス) id: 3cbdf99785 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - はつりさん» わざわざありがとうございます!!和装徳永とても嬉しいです!!!おにぎりは森さんに買ってもらったんですね(( ありがとうございます!!もしよろしければ小説に載せたいのですがいいでしょうか? (2019年1月18日 19時) (レス) id: 5c7b126db4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年7月1日 18時