長年の時を経て__とは。 ページ34
No side
隣街の海岸付近。
"立ち入り禁止"と書かれた黄色のテープが行く手を阻んでいた。
野次馬達の間を通り抜け、テープの近くにいる若い警官に異能特務課の社員証を見せた。
警官がテープを上げ、その下を潜る。
「あの」と隣から声が聞こえた。
「僕のような下っ端が同行してもいいんですか?重治さん」
中野は歩きながら横を見、微笑んだ。
「安吾くんは優秀だと聞いているし、今後の為にもこういう現場には慣れた方が善いと思ったんだ。だから大丈夫」
「判りました」
安吾が緊張した表情で頷いた。
現場である倉庫に着き、中へと入る。
コンクリートの壁や扉が破壊され、辺りに破片が散らばっていた。
所々血も付いている。
軍警や特務課の人間が忙しく動いていた。
そのうちの一人が中野に気づき、小走りで向かって来た。
中野の同僚だ。
「急に呼び出して悪いな」
「うん。それより、本当に皇十郎と三船留吉が...?」
同僚が真剣な表情で頷く。
中野の瞳が鋭くなった。
安吾は横目でそれを見て、再び前に視線を移した。
「皇家を含め、≪卯の花≫が破滅したと聞きました」
「あぁ。そのお陰で朝からバタバタしてるよ」
疲れたと言わんばかりに肩を回した。
その姿に、安吾が「お疲れ様です」と労いの言葉をかけた。
同僚は苦笑しながら礼を言う。
チラリ、と中野に視線を移した。
眉間に眉を寄せ、何か考え込んでいた。
「おい、大丈夫か?」
「え...あぁ、うん。大丈夫」
「そうか?んじゃあ俺は行くぜ」
そう言い去ろうと歩き出した。
が、中野が「あのさ」と呼び止める。
「女の子の遺体って、あった?」
「え、女の子?なかったけど」
「...そう、ありがとう」
その言葉に返事をすると、そさくさと歩いてその場を去った。
中野は再び考え込み、暫くすると近くにいる者に何かを頼んだ。
隣にいた安吾は心の中で首を傾げる。
単でいたのは、≪卯の花≫での志望者リスト。
何故それを頼むのだろうか。
リストを受け取った中野は素早く目を通す。
読み終わると、目を見開いて唖然とした。
「いない...てことは、逃げれた......?」
重治がその"女の子"と会う日も、安吾がその意味を知る日も、そう遠くはない。
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ねむ - まだ途中までしか見てないのですが、徳永ちゃん描かせていただいたのでここにURL貼らせていただきます⊃ ̫ TU https://d.kuku.lu/hzhfb3ky7 (7月22日 16時) (レス) @page34 id: 9c99694c20 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 「長年の時を経て__とは」の死亡者が志望者になってますよ。 (2021年1月7日 7時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - こたけさん» ありがとうございます!では、後々「参謀とは。7」の方で載せさせていただきます。 (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - マリアさん» フォローありがとうございます!大好きと言っていただけて光栄です、頑張ります! (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - しろねこさん» 織田作ゲットできませんでした...おださくぅ() (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年3月27日 0時