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信じろとは。 ページ25

No side


逃げられない。



逆らえない。



その本当の意味を知った。


あの日、森に引き取られた(助けられた)時、



安心したのだ。


嬉しかったのだ。



もう≪卯の花≫に、皇家に、十郎に縛られることは無いのだと。

けれど、そんなことはなかった。


肩に刻まれた"印"がある限り、一生縛られ続ける。


「お前に選択肢をやろう」


十郎が囁いた。


「このまま大人しく売られるなら、彼奴等の命を助けてやる」


心臓が大きく脈を打った。


「拒めば、あの日と同じことになるぞ」


不気味な程にやりと笑った。
まるで答えが判っているかのように。



あの日。

目の前で斬られ、夜空に赤が混じった。


初めて泣き、叫んだ。


忘れることのない、忘れたことのない。



首にある焼け痕が痛む。


Aは中也と太宰を見、目を瞑った。



一年前、彼等に初めて会った。


旧幹部室で一緒に本を読んだ。


中也に"生きるって、何?"と聞いて、"部下になれ"と言われた。


太宰に勉学だけでなく嫌がらせの仕方も教えられた。


初めての任務を3人で果たした。


中也と太宰の喧嘩を止めた。


常に一緒にいた。



この1年で、数え切れないほどの思い出が瞼の裏で流れた。


そっと目を開ける。


『判り__』





「言うな!!」





決心した時、中也の叫び声が響いた。

言葉が喉の奥へと戻った。


「手前は、黙ってろ」


息切れをしながら言った。
そして真っ直ぐな瞳でAを見た。


青い瞳から目が逸らせない。


「俺等は、こんなんで死なねェ」


苦しい筈なのに、息もしずらい筈なのに。


「それともなンだ...俺らを信じてねェなのか」

『ち、がう』

「なら、信じて其処で待ってろ。必ずお前をポートマフィア(こっち)に連れ戻す」


なんともなさそうに。

まるで平気だとでも言うように。


「次判ったって言ってみろ...吹っ飛ばすからな」


いつもの笑みを浮かべたのだ。

徳永のイラスト19→←印の残酷さとは。



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ねむ - まだ途中までしか見てないのですが、徳永ちゃん描かせていただいたのでここにURL貼らせていただきます⊃ ̫ TU https://d.kuku.lu/hzhfb3ky7 (7月22日 16時) (レス) @page34 id: 9c99694c20 (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 「長年の時を経て__とは」の死亡者が志望者になってますよ。 (2021年1月7日 7時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - こたけさん» ありがとうございます!では、後々「参謀とは。7」の方で載せさせていただきます。 (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - マリアさん» フォローありがとうございます!大好きと言っていただけて光栄です、頑張ります! (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - しろねこさん» 織田作ゲットできませんでした...おださくぅ() (2018年7月12日 23時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb  
作成日時:2018年3月27日 0時

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