受け継がれる言葉とは。 ページ22
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「徳永さん...?」
突如聞こえてきたAの声に、鏡花は驚きを隠せないようだ。
それは太宰も同じだった。
Aの方を向くが、背を向けているので顔は見えない。
『私の知り合いにね、闇の中で生きてた人がいた』
静かに、けれども強く感じれる。
太宰は椅子背凭れに身を預け、黙って聞くことにした。
『今の君と同じように生きるのを諦めて、やめようとした。けれど死ななかった。なんでかわかる?』
「...わからない」
『自分がいたいと思う場所と大切だと思う人ができたから』
静かな部屋に良く響いた。
太宰が先程、嘗ての友人を思い出したのと同じように...Aもまた、思い出している人物がいた。
『...ある人に言ったそうだよ』
Aは目を瞑った。
あの日が鮮明に蘇ってくる。
彼が残してくれた言葉を、そのまま伝えた。
___生きろ___
___生きていれば、アンタがいたいと思える場所が___
___アンタが大切だと思える人ができるから___
___だから、生きろ___
『その人は、この言葉を信じて生きてきた。そしてそれは事実になって、今も自分なりに生きてる。
人は、いたい場所と大切な人の、たった二つの理由で生きることができる。
泉ちゃん、君にもその二つがあるはずだよ』
鏡花はハッとして顔を上げた。
忘れかけていたものが頭の中を駆け巡る。
いたい場所
__目の前に浮かぶのは探偵社。
大切な人
__そこには敦が、探偵社の人達が。
鏡花にもあったのだ。
いたい場所。大切な人。
両手がいっぱいになるほどの。
『私はマフィアだ。だから探偵社の試験については言えないけど...でも君は、生きる希望も探偵社の希望も捨てなくてもいいと思うよ』
必要なものは、充分あるのだから。
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でんでん - 徳永さんの黒の時代がとても面白いです! (2月26日 0時) (レス) @page7 id: e3b856a7a9 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - https://cdn.picrew.me/app/share/202005/258388_pj2ocJeQ.png (2020年5月11日 9時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - ミニ徳永ちゃん (2020年5月11日 9時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - 夢主徳永ちゃんです!Pcuruで作りました (2020年5月11日 8時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと - https://p02.nosv.org/?src=https%3A%2F%2Fcdn.picrew.me%2Fapp%2Fshare%2F202005%2F42922_NjYLl6l1.png&w=600&h=&ext=1&zc= (2020年5月11日 8時) (レス) id: 623f3ee5b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年1月13日 1時