参幕 ページ6
下手すれば子供達よりも怯えている善逸。
炭治郎がジッと視線を送るが、首が千切れんばかりに横に振り、"行かない"と主張する。
「…そうか。わかった」
「ヒャーッ何だよォーッ!!なんでそんな般若みたいな顔すんだよォーッ行くよォーッ」
「無理強いするつもりはない」
「行くよォーッ」
『…君達面白いねえ』
二人のやりとりを縁側にいるおばあちゃんの如く、温かく見守っていたA。
Aならば、と期待を込めて視線を送った善逸だが、とても良い笑顔を返されたので泣く泣く諦めた。
その間に、炭治郎は背負っていた木箱を子供達の前に下ろした。
「もしもの時のためにこの箱を置いていく。何かあっても二人を守ってくれるから」
こうして炭治郎、善逸、Aの三人は屋敷の中へと入っていった。
土埃が立ち込み、所々蜘蛛の巣が見える。オレンジ色に光る照明があるが、かなり古いのか点滅し、僅かな灯で不気味さを増すだけだ。
炭治郎が先頭を歩き、その後ろと善逸、Aが続く。
善逸は全身を震わせていた。
「なあ炭治郎、守ってくれるよな?俺を守ってくれるよな?」
申し訳なさそうに眉を下げた炭治郎の横顔が見えた。
「…善逸、ちょっと申し訳ないが…あ、Aも。
前の戦いで俺は肋と脚が折れている。まだ完治していない」
『ありゃ。それはお疲れだねえ』
「そう、だから_」
「えええーッ何折ってるんだよ骨折るんじゃないよ骨折れてる炭治郎じゃ俺を守り切れないぜしししし死んでしまうぞ」
ぎゃあぎゃあわーわー喚き泣き出してしまった。
しかも一息。呼吸する間もなく、とても汚い高音を発しながら"死ぬ"を繰り返し言っている。
『我妻さん、どーどー』
「そうだぞ、善逸。それにお前は大丈夫だ」
「気休めは止せよォーッ」
「違うんだ。俺にはわかる。善逸は……駄目だ!」
突如、炭治郎が声を上げた。
視線の先には、外に待っている筈の子供達が中に入ってきてしまったのだ。
何か焦っている様子だった。
Aが「どうしたの?」と聞くと、どうやら炭治郎が置いて行った木箱の中からカリカリと音がして怖いという。
それを聞いた炭治郎が切ない表情になる。
「あれは俺の命より大切なものなのに…」
『…へえ、気になるなあ。何が入ってるの?』
すぅっとAの瞳が細められ、興味津々と炭治郎を見る。
言葉に詰まったその時、建物が大きく揺れ出し、軋む音が響いた。
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RANA(プロフ) - 鴉蒼さん» ご指摘ありがとうございます。いつも注意しながら書いているのですが、時々見逃してしまいますので、またあったら教えてくださるとうれしいです。 (2020年4月6日 12時) (レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)
鴉蒼 - 富岡さんになってますよ…冨岡さんです… (2020年4月6日 9時) (レス) id: 96316f1cbb (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - RANAさん» 教えてくれてありがとうございます!!楽しんで読んでます!更新頑張ってください! (2020年2月22日 20時) (レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - サラダさん» "うすい"と読みます!!読みにくくてすみません (2020年2月22日 20時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 夢主の名字の読み方がわからないのですが、、、出来れば教えてください!!! (2020年2月22日 20時) (レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2019年11月19日 0時