肆幕 ページ7
建物が崩れるんじゃないかと錯覚しそうな軋み音。
不安と恐怖に駆られる中、遂に善逸が悲鳴を上げて頭を抱える。
頭が当たりそうになったAは避けて背後にある部屋へ、尻が当たってしまった炭治郎と女の子が背後にある部屋へ入った。
「あ、ごめん…尻が」
瞬間、ポンッという軽快な音を立てて部屋が変わった。
掛け軸がある部屋、古びた襖の部屋、障子だらけの部屋、最後にオレンジ色の火が灯る行燈がある部屋。
炭治郎達が移動したのか、部屋自体が変化したのか…
思案する中、泣き声が耳に入った。
炭治郎にしがみついた女の子だ。兄二人ともいないのだ、末っ子と言うこともあるだろうが恐怖でいっぱいだろう。
炭治郎は安心させようと明るく努める。
「お兄ちゃんと離れ離れにしてごめんな。でも必ず守るから」
目を合わせるため、しゃがんで涙をぬぐう。
「お兄ちゃんの事も善逸が守るよ、大丈夫。
名前は？」
「…てる子」
「そうか。いい名前をつけてもらっ＿」
鬼の匂いがした。
ハッと顔を上げ、襖が開いている方に視線を向ける。
巨大な足が現れた。
次に、炭治郎よりも一回り大きい鬼の姿があった。
両肩、腹、両脚に鼓がある鬼だ。
この屋敷には幾つかの匂いの中でも、特に染み付いてきつい匂い。かなり人を喰っている事がわかる。
＿こいつが屋敷の、主！
炭治郎の頬に冷や汗が伝った。
一方、善逸と二番目の兄＿正一。
善逸は顔面蒼白で「死ぬ」を繰り返し、正一はいなくなったてる子の名を叫びに近い声で呼ぶ。すると善逸が「大声で呼んじゃだめ」と明らかに正一よりも大きい声で止めた。
「ちょっと出よう、外に」
その言葉を聞いた正一が、有り得ない、と言う顔で善逸を見た。
「なんでで外に？自分だけ助かろうとしてるんですか？死ぬとかそういうことずっと言っていて恥ずかしくないですか。あなたの腰の刀は一体何のためにあるんですか」
正一の正論は鋭い刃物となり、善逸の心に深く突き刺さった。
よく切れる包丁の如く切れ味がいい。
思わず吐血した。
「違うんだよ、俺じゃ役に立た役に立たないから人を＿」
「放してください」
ぎゃあぎゃあ二人で声を荒げ、善逸は正一の手を掴んで入り口まで引きずる。
やっとの事で着き、玄関を開けた。
そこは外ではなかった。
見覚えのない部屋に「嘘だろ！？」と声を上げる。
全員が、鼓の屋敷に閉じ込められてしまった。
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RANA(プロフ) - 鴉蒼さん» ご指摘ありがとうございます。いつも注意しながら書いているのですが、時々見逃してしまいますので、またあったら教えてくださるとうれしいです。 (2020年4月6日 12時) (
レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)
鴉蒼 - 富岡さんになってますよ…冨岡さんです… (2020年4月6日 9時) (レス) id: 96316f1cbb (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - RANAさん» 教えてくれてありがとうございます！！楽しんで読んでます！更新頑張ってください！ (2020年2月22日 20時) (レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - サラダさん» "うすい"と読みます！！読みにくくてすみません (2020年2月22日 20時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
サラダ(プロフ) - 夢主の名字の読み方がわからないのですが、、、出来れば教えてください！！！ (2020年2月22日 20時) (レス) id: a856ca8d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RANA
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時：2019年11月19日 0時
