少女の覚悟とは。 ページ7
No side
「彼を逃がして」
鏡花の瞳は、今まで見たことのない、真剣な眼差しで芥川を見ている。
「外の世界に触れて心が動いたか?」
嘲笑うかのように、目の前に『羅生門』が通った。
銃が真っ二つに斬られる。
驚いている鏡花をよそに、芥川はその細い腕で鏡花の首を絞め上げる。
変な汗が頬を伝う。
鏡花の首を締めあげたまま、芥川は語り出した。
「"どん底"を知っているか?」
光の差さぬ、無限の深淵。
有るのは汚泥、腐臭、自己憐憫。
遥か上方の穴から時折人が覗き込む。
けれど誰も気づかない。
一呼吸毎に惨めさ肺を灼く。
「外で待つのは
『夜叉白雪』は殺戮の権化。そんなお前が、マフィアの外で普通に生きると?」
芥川の言葉に、何も返せない。
黒い瞳が敦を捕らえた。
「人虎、教えてやるがいい。
誰にも貢献されず、誰にも頼られず、泥虫のように__
怯え、隠れて、生きるのが如何いう事か」
教えるまでもなかった。
何故なら、敦は何も言えなかったからだ。
それが、芥川が言った事は真実だから。
悔しく、ただ下唇を噛むことしかできない。
「殺しを続けろ、鏡花。マフィアの一員として。
でなければ呼吸をするな。無価値な人間に呼吸をする権利は無い」
「...そうかもしれない。けど」
鏡花の脳裏に蘇ったのは、マフィアで過ごした出来事ではなかった。
今日限りの、敦と過ごした楽しい時間。
「クレープ、おいしかった」
敦はハッと顔を上げる。
同時に、海の向こうから自分の名を呼ぶ声がした。
国木田だ。
「もう嗅ぎ付けたか、探偵社。まとめて膾斬りに__」
言葉を遮るように、鏡花が自身の首を掴む芥川の手を自分に引き寄せ、身動きを取れなくする。
「今の内に逃げて。この船は取引場所へは行かない」
「ならばどこへ行く」
もう一方の右手が上がる。
そしてそれを強く握りしめた。
「
次の瞬間、海上に大きな爆発音が響き渡った。
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RANA(プロフ) - 花雫@浮上中さん» ご指摘ありがとうございます! (2018年1月9日 0時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
花雫@浮上中(プロフ) - あんの青鯖野郎です!えっと唐突な間違い指摘ごめんなさい (2018年1月8日 2時) (レス) id: f3cc68df07 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - えーなさん» 14巻。表紙最高でしたね!次巻はやく販売しないかな()そして来年には映画ですね!それも楽しみなんですよ〜!! 続編、さっそくできました。応援ありがとうございます!頑張ります! (2017年12月10日 19時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
えーな(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!14巻見ました!乱歩さんメインで私も幸せでした〜!そしてまさか探偵社の今後がめちゃくちゃ気になる終わり方で…!すみません、漫画の話はここまでにします笑 続編楽しみにしてます!頑張ってください! (2017年12月10日 19時) (レス) id: 2f759f2211 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年11月16日 22時) (レス) id: fcafb99727 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2017年11月5日 22時