青い夏、宣戦布告 ページ45
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ああ、もう、全部思い出しちゃった。
｢おはよ、トントン｣
｢え、あ、…おはよ｣
翌日の朝、私はいつも通り隣の家に住むトントンを出迎えて通学路を歩いた。そうして昨日のドラマが面白かったとか、夕飯は何だったとか、そんな話をして何一つ気にしていない振りをする。
｢……A、その。昨日はすまんかった｣
トントンはずっと空返事ばかりで、私が一方的にぺらぺらと話していた。けれど暫くして彼が足を止め、話を遮って謝罪の言葉を零す。
｢酷いこと、言うたよな。俺、帰ってからちゃんと考えたんや。そうしたら気づいてん。……お、俺も、｣
｢おれも？｣
｢……俺、も、幼馴染としてやなくて、…その。違う意味で、お前のことがすき、なんやって｣
せやから、すまんかった。 そう言って頭まで下げられてしまって、私は少しだけ決心が揺らいでいた。けれど残念なことに私は根っからの負けず嫌いで、心からの気持ちを勘違いと言われた昨日のことを簡単に許してあげられるような性格ではなかったのだ。
｢んは、それ、勘違いだよ｣
｢は、？｣
｢ばかだね、トントン。私は幼馴染として君のことが好きだよ。トントンも同じでしょ？｣
｢……そ、れは、｣
｢昨日のこと、ぜーんぶ忘れることにした！ だからさ、今日はまたいつも通りの幼馴染｣
幼馴染を終わりに、なんてのも忘れてあげる。私たちはいつも通り幼馴染で、お互いに振って振られたもの同士。一敗ずつで綺麗に収まりがついたでしょう。
｢……成程な、そうくるんか。お前らしいわ｣
｢負かされたままじゃ悔しいじゃんか｣
｢おん、せやな。けどこのままじゃどっちにも勝ち星つかへんけど、それで満足なん？｣
｢……｣
｢俺は満足できひん。せやからAに、宣戦布告｣
暗い顔は拭って、私を真っ直ぐに見下ろした彼が真面目な表情で言う。
｢もう一度、お前に本気で好きって言わせたる｣
そう、この日から負けず嫌いな幼馴染たちの小さな争いが始まったんだ。お互いに同じ気持ちを持っているのに決して口にはしてやらない、なんて意地を張り合って早十年近く。
けれど私は悔しさのあまり忘れろ、忘れろと唱え続け本気であの日を忘れた挙句、こちらから宣戦布告する始末。ああ、本当に、なんて馬鹿なふたりだろうか。
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るな？ - 序盤のほうからめっちゃ泣けてました！ドキドキもあるけど感動って作者様神ですか！？ (2022年3月5日 2時) (
レス) @page50 id: 12ba396496 (このIDを非表示/違反報告)
猫大好き - めっちゃ遅れました。完結、おめでとうございます!!私も、成功するかわかんないけど好きな人に、好きって言う勇気が付きました。ありがとうございます!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: 932515d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - もちたさん» もちたさん、こちらこそ最後までお付き合いいただきましてありがとうございます〜！みんなドキドキしてくれ！の精神で書きなぐっていたのでそう言ってもらえてはちゃめちゃに嬉しいです…！本当にありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - ネこさん» ネこさん、コメントありがとうございます〜！イッキ見！楽しんでいただけたようでとっても嬉しいです…！最後までありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
もちた - ちょっと遅れてしまいましたが、完結、おめでとうございます...!こんなにドキドキできた作品は初めてです...本当に...ありがとうございます(た)...! (2021年1月26日 20時) (レス) id: d31df64977 (このIDを非表示/違反報告)
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