そんな関係 ページ11
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｢……で？グルッペンに振られたから俺んとこに来たと｣
｢振られたって言うのやめてくれない？私のナイーブな心様の傷はまだ癒えてないんだから。ところで夕飯は？｣
｢冷凍パスタやけど｣
｢私明太子ね。ビールはあるよ。お邪魔しまあす｣
｢……はぁ。どうぞ｣
有無を言わさず滑り込んだのは通い慣れたトントン家の玄関。扉を閉められる前に、とそそくさヒールを脱ぎ捨て我が物顔でリビングへと向かう私を何だかんだ言って止めはしない彼はやはりちょっぴり優しい。逆の立場だったら私はキレ散らかしていることだろう。
｢うわ、いつも通り部屋が汚い。急に彼女が押しかけてきたら幻滅されるよいいの？｣
｢残念ながらこの部屋に押しかけてくるのはお前だけやから別に｣
｢私にも少しは気を使え｣
｢その言葉そっくりそのまま返すわ｣
リビングの扉を開けて一秒、目に飛び込んだ悲惨な光景に頭を抱える。ソファーの上には脱ぎ散らかしたスーツ、取り込まれた洗濯物は床に散乱、テーブルに積まれたバラバラの漫画。私にならだらしのない部分を見せてもいい、なんて喜ぶべきか否か。
｢もう……部屋片付けるから私の分も夜ご飯作ってよ。どうせ冷蔵庫の中に冷凍食品溜め込んでるでしょ｣
｢お。それならお前に明太子パスタを譲ってやってもええわ。風呂は？入るなら沸かすけど｣
｢あ、入る！｣
｢ん｣
自分のスーツはほっぽる癖して私の脱いだジャケットはしっかりとハンガーに掛けたトントンが浴室の方へと消えていく。そんな背中を見送りながら、引っ掴んだ洗濯物のパンツを眺めて、ふと思う。
｢……やっぱり私ら付き合った方がよくない？｣
躊躇なくパンツを畳ませ、畳む関係。ぽっとでの女なんかより私といた方が彼もずっと気楽でいられるだろう。平気でパンツ畳ませるんだから。
その関係の中に恋愛感情などという甘ったるいものがなくとも、そういった気楽さの方が余っ程大事ではないだろうか。少なくとも私はそうだ。
｢A、あと二十分で風呂沸くから、｣
｢ねえ、トントン｣
いつまでも幼馴染。それも、いいかもしれない。けれど人生の履歴書に"結婚"の二文字が刻まれないのは女としてちょっぴり悲しい。だから私はその相手の名を彼で埋めてしまいたい。手っ取り早く、都合良く。
私が、幼馴染の壁を今、壊してやろう。
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るな？ - 序盤のほうからめっちゃ泣けてました！ドキドキもあるけど感動って作者様神ですか！？ (2022年3月5日 2時) (
レス) @page50 id: 12ba396496 (このIDを非表示/違反報告)
猫大好き - めっちゃ遅れました。完結、おめでとうございます!!私も、成功するかわかんないけど好きな人に、好きって言う勇気が付きました。ありがとうございます!! (2021年2月3日 19時) (レス) id: 932515d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - もちたさん» もちたさん、こちらこそ最後までお付き合いいただきましてありがとうございます〜！みんなドキドキしてくれ！の精神で書きなぐっていたのでそう言ってもらえてはちゃめちゃに嬉しいです…！本当にありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - ネこさん» ネこさん、コメントありがとうございます〜！イッキ見！楽しんでいただけたようでとっても嬉しいです…！最後までありがとうございました！ (2021年1月28日 22時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
もちた - ちょっと遅れてしまいましたが、完結、おめでとうございます...!こんなにドキドキできた作品は初めてです...本当に...ありがとうございます(た)...! (2021年1月26日 20時) (レス) id: d31df64977 (このIDを非表示/違反報告)
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