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「ご、ごめんなさい…！そんなつもりじゃ、」
「っち、違うの、ごめんね、何でもないから」
突然泣き始めた私に、あわあわと慌てふためくチーノくんが鞄から取り出したハンカチで私の頬を拭ってくれる。それが何だか恥ずかしくて大丈夫だ、と笑うが、彼は眉をいっぱいに下げてしょぼくれてしまった。
「……おいチーノ。お前、何しとんねん」
「っや、ちゃうんやショッピ、」
「…は？何でAが泣いとんの？」
「う、」
「ふ、二人とも、違うから。目にゴミが入っただけだよ」
そんな私達の様子に気づいたショッピくんとコネシマが低い声でチーノくんを責めるものだから慌てて誤魔化すが、ぽろぽろと溢れ出した涙が止まってくれない。
違うの、悲しくて泣いてる訳じゃない。そう言いたいのに、喉がつっかえて上手く言葉が吐けないでいる。
「…A。俺ら、今でもこうして一緒におんねんで。凄いやろ」
＿＿＿"俺、悔しいわ。あいつよりお前の傍に居た筈なのに、俺には出来んかった"
そう言ったのはゾムだった。彼自身の言葉と、また重ねられた記憶の言葉をゆっくりと心の中で噛み砕き、そして気がつく。今、ゾムの発した言葉と、この間彼が言っていた"もう一度"の意味に。
「…っ、そ、だね。ふふ、すごい。ほんとに、」
「え、え？なに？何なんです…？」
「Aは嬉しくて泣いとるっちゅうこと。な？」
「うん、ゾムの言うとおり。ごめんね、チーノくん」
「そ、そうなん…？」
そうだ、この懐かしさがとても嬉しかった。まだハッキリとは思い出していないが、確かに彼らは昔、私の大切な仲間だった。そんな彼らとこうしてまた一緒に居る。それを純粋に喜ばしく感じていた。
私、ちゃんと思い出してるよ。そう言うように、チーノくんとは反対側の隣で静かに座っていたグルッペンに笑いかければ、彼も優しく微笑み返してくれる。
「よう分からんけど、取り敢えずチーノシバいとく？」
「シャオさん！？」
「ふふ、シャオロンだめだよ。やるなら大先生にしてあげて」
「Aが言うならしゃあねぇなぁ！」
「何で俺なん！？」
「お、ええぞ楽しくなってきたわ！」
そんな楽しげな声に自然と口角が上がる。
「…ふふ、せや。それやで、Aさん」
「え？」
「幸せそーな顔。それが、一番似合ってますよ」
ね、なんて言って嬉しそうに笑うチーノくん。そんな彼の笑顔もまた何処か懐かしくて、私の目からは再び涙が零れ落ちていた。
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夜狐 - んもう好き……() (2021年7月3日 14時) (
レス) id: 587d00a7a2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - すみれいんさん» すみれいんさん、まさかの周回ありがとうございます…！完結から日の経った今でもこの作品を読んでいただけていることが心の底から嬉しいです…！；；；； (2020年12月27日 1時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 再び読みにきてもう、やっぱり好きです (2020年12月20日 20時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぴぷ(プロフ) - 宙さん» 宙さん、コメントありがとうございます〜！タイトルの意まで気づいていただけでとっても嬉しいです；；；；最後までありがとうございました！ (2020年9月2日 21時) (レス) id: def2dae9c2 (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - 神作。なんて素敵な終わり方なんだあ！題名の意味3か4シリーズぐらいでもしかしてって思ったけど感動したーー！なんて素敵な作品なんだ！！ (2020年8月27日 19時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
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