【d!】 Lost 【tn】

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　今日一日で得た情報量があまりにも多過ぎて、若干痛む頭を抑えつつ布団に潜った夜。
　Aが外に連れ出してくれたお陰でかなりこの国のことについて知れたような気がするが、それと同時に、此処が本当に自分の知らない世界なのだと再確認もさせられた。あれだけはっきりと目の当たりにすると流石に認めざるを得ない。遠くの国、で片ずけるには些か進歩が劇的過ぎた。

　特にこの国の自動車はすごい。とても静かに走るし、揺れも少なく、街ではぎっしりと大量の自動車が道を走らせていた。あんな光景は自動車よりも馬車や戦車の方が走るうちの国では絶対に見られない。俺自身、ああいった機械類が好きなので是非ともあの技術を持ち帰りたいところだ。



　ここへ来てから驚かされること、不安になることが多かったが、悪いことばかりでも無いことに気が付けた。技術が進歩しているのなら発見も多いし、学べることは五万とあるだろう。そう考えるとなんだか心を踊らされる。
　この世界で得た知識はきっと自国の発展にも繋がるはずなので、もう少しこの世界について詳しく知っていこうかと思う。


　仲間たちや国のことは気掛かりだが、今は溜めに溜め込んだ休暇を消費していると思えばいい。俺のいない状況でグルッペンがいつもの発作を起こすとも思えないので、その辺は安心していいだろう。仮に馬鹿なことを言い出したとしてもどうせエーミールがキレて止めるはずだ。

　戻ったら戻ったで激務に追われること間違いなしだし、ゆっくりと出来るのは今だけだ。勿論帰る方法はしっかりと探るが、ほんの少しだけ遠回りをすることを許して欲しい。お前らいつもサボっては俺に仕事回しとったんやから、な？俺の有難みを知るいい機会だろう。



「……長期休暇なんて、初めてやなぁ」



　仲間たちと共に革命を起こし、新たな国を立ち上げてからはもう馬車馬の如く、身を粉にして働いてきた。休暇を返上することなぞ、ざらである。
　……そういえば、偶に貰えていた休暇で俺はいつも何をしていたっけ。シッマやグルッペンから無理やり貸し付けられた本を読んだり、寝てたり、……あとは？


「……？」


　あ、れ？それ以外にも、何かあったやろ。
　ほら、休暇には大事な、……大事な、なんだ？

　……疲れているんだろうか。自分の中に当たり前に記憶されていたような"何か"が、思い出せない。何だかそれが気持ち悪く感じて、その違和感から逃げるように目を瞑って考えるのを止めた。



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