教えて、恋のFlavor (ページ21)

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"好き"と"怖い" ページ21

ar side

「有岡くん、…有岡くん、聞いてる？」

「お、おう。悪い悪い」

雑誌の対談でペアになった髙木に呼び止められ、ようやく意識がクリアになった。
記者も不安そうに俺を見つめていたが、「大丈夫です、すみません」と片手を上げれば少しホッとしたようだった。

「二人はラジオのお仕事もされていますが＿＿＿＿。」

淡々と話を進めていく記者の唇につい目がいく。そんなに薄くなくて、リップだって付いていない。
もっと厚くて、熱くて、溶けてしまいそうな。

そう、あの日、いのちゃんに家に呼ばれてキスをされた日から、俺はずっと上の空だ。

仕事は完璧にこなしたくて、プライベートは絶対に持ち込みたくない主義だから、今の自分に腹を立てずにはいられない。

全部、全部いのちゃんのせいだ。
いのちゃんが、俺にあんなこと＿＿＿＿。

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「…、ん！…ぁ、…は、」

苦しくて、いきなりのことで何が起きているか分からない。キスは少しずつ慣れたものの、舌まで入れられるなんて、初めてだった。

「く、…っ、るし….ぁ…」

熱くて、細やかな神経が敏感に反応する。彼の舌についていくのが精一杯で、自分は身動きさえも取れない。キスが上手くて、器用に動く彼の過去がチラリと垣間見えて、無性に腹が立った。

糸が引いて、顎に垂れると、お互いはっ、はっと息を整える。俺の肩口に鼻を埋めるいのちゃんの耳が真っ赤に染まって、熱い。ふわりと同じシャンプーの匂いが鼻腔を掠める。

「…びっくり、すんだろーが…っ、は…」

「….ごめん…止まんなくて。…嫌だった？」

「…んなこと、言ってねー…よ、…」

焦点が合わない目を泳がせながら会話する。今までの出来事が昔の劇場みたいに白黒で流れていく。こんな顔、いのちゃんにも見られたくなくて頭からタオルを被った。

「…、好き…」

ぽつり、といのちゃんが零したその言葉は、最近俺の脳からこびりついて離れない。苦くて、不可解なその二文字は俺を少しずつ追い込んでいく。

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