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liqueur:8 ページ9

だいぶ車を走らせたが未だ車内は無言のまま。

彼女の方から何か聞いてくるだろうと思っていたからこちらからどう切り出していいかわからない。


とりあえずもうすぐ着く行き先は伝えておこう。


「人に聞かれるとまずいので僕の家に向かってます」

「えっ」


わかりやすい困惑の声。視界の端で俯いていた顔がこちらを向いた。

まあそうだよな。女性からしたら男の家に連れていかれることに身の危険を感じるだろう。


「安心してください。あいつに怒られるようなことはしませんから」


何か言い淀んだ彼女は再び俯いた。


確信しただろうか。それともすでに確信していただろうか。わからない。でも今のできっと気づいたはず。


「安室、さん、を……なんて呼んだらいいですか」


途切れ途切れ振り絞るように。

彼女の中で俺はもう降谷零なんだろう。


「降谷のほうで構いません」

「…降谷さん」


呟いて、再び沈黙が訪れた。


知らないふりをして安室透を演じきれればそれがよかった。

彼女があの一度しかポアロに訪れない可能性や他人の空似だと見過ごす可能性もあった。


でも万が一それらが外れたら。考えすぎなんてことはない。最悪を避けるため。


言える範囲の現状説明をして彼女に理解してもらうことを選んだ。


「やっぱり、降谷くんなんですね」


諦めたような、ほっとしたような、落ち着いた声。ゆっくりと状況を呑み込めてきたのだろうか。


よく知りもしない一般人の彼女になんとなく信頼を寄せ理解してもらおうなんて考えたのはきっと萩原の彼女だった人だから。



その後自宅マンションに着くまでの車内には車の音だけが響いた。

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理那(プロフ) - ありがとうございました。本当に素敵なお話でした。 (2020年7月7日 16時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
かものはし子(プロフ) - お萩さん» コメントありがとうございます(*^^*)頑張っていきます! (2019年5月17日 22時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
お萩 - わー!とっても素敵ですね!ふるやさんこわーい「棒」 これからも頑張ってください (2019年5月17日 20時) (レス) id: c0a94bdd1a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かものはし子 | 作成日時:2019年5月16日 3時

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