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「あーーー、寂しい…」
「今さら？今まで普通にお別れしてたじゃん」
あの後調子に乗った萩原が緩く弧を描いた唇を手の甲に寄せ小さなリップ音を鳴らした瞬間一周回って冷静になり
思い切りほっぺたを抓ってどうにかドキドキ甘々な雰囲気をぶち壊した。
それからお菓子を摘みながらお互いの近況を話したり警察学校の友人たちの話を面白おかしく聞いたりとダラダラ過ごし、
萩原研二くんお帰りの時間です。
「今までは友達だったから！また次会うの楽しみ〜ってモチベーションだったの！！」
「今は？」
「彼女と離れるの寂しい！！！」
狭い玄関先で靴も履いて外に出る準備万端なのに。全力で本音をこぼすその素直さに笑ってしまった。
「はいはい駅まで送ってくよ〜」
「うぃ〜……」
項垂れてる萩原の腕を引いて家を出る。
「はーぎーわーらーくん」
「んー…」
「拗ねないでー」
「うー…」
近くも遠くもない駅までの道中、力なく歩く萩原を引っ張り歩を進める。
今の自分たちの光景を客観的に想像して萩原はまるででっかい子供だなと思った。
「あー…もっと一緒にいたいー…」
「ハイハイ」
「彼女が冷たい…」
「彼氏なら引っ張られないで隣を歩いてくださーい」
そう言うと黙って素早く隣に並んできた萩原に単純か、と笑いつつ引っ張る必要もなくなった手を離すと途端手首をつかまれ掬われた。
「手、繋いでもいい？」
眉を下げ懇願するような切なげな表情に不覚にもドキっとした。
「…っむり」
「繋ぎまーす」
慣れてないドキドキするようなことが目の前に立ちはだかると私は最初に無理と言うんだなと今日学んだ。
萩原は満足そうに笑ってあっという間に指と指を絡ませ触れる熱から、感触から、視界から、その事実を受け入れる。
手を撫でてくる親指が擽ったい。
「…萩原はさ、」
「うん？」
「友達から…付き合う…って関係になって、こう、気恥しさみたいなものはないの？」
今まで友達として接してきたからいきなり恋人になってじゃあ手を繋ごうじゃあ抱擁しようじゃあキスしようなんて、気恥ずかしくてやりにくい。
だからそういうことを何でもないような顔でしようとする萩原は私にとって何とも不思議で、
「ないよ？」
「…左様ですか」
踏んできた場数が違うなと悟ると同時に警察学校の全寮制度に感謝した。
「毎週デートしようね」
「しないです」
私の心臓に気を使え。
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理那(プロフ) - ありがとうございました。本当に素敵なお話でした。 (2020年7月7日 16時) (
レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
かものはし子(プロフ) - お萩さん» コメントありがとうございます(*^^*)頑張っていきます！ (2019年5月17日 22時) (レス) id: e4c7a737a2 (このIDを非表示/違反報告)
お萩 - わー！とっても素敵ですね！ふるやさんこわーい「棒」 これからも頑張ってください (2019年5月17日 20時) (レス) id: c0a94bdd1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かものはし子 | 作成日時：2019年5月16日 3時
