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「いっ……!」
「喋る暇があったら手を動かしなさい」
頭に感じた軽い痛み。
子供を諭すような声に、顔をハッと上げてからやっと、ショッピ君が手刀で私の頭を軽く叩いたのが分かった。
すれ違いざまに私の肩をぽんぽんと叩き、「休憩してきます」と部屋を後にしたショッピ君は至って平然だった。
さっきまでの緊張がほぐれる。
一体、さっきのショッピ君の様子はなんだったのか。
もしかして私がショッピ君のことを意識しすぎて見間違えたのかもしれない。
思い出してみればショッピ君は仕事をする時いつもあんな感じだし。
うん、きっとそうだ。
「はぁぁ……」
デスクにうつ伏せになる。結局咎められたことには変わりないのだ。
それなのに、反省の気持ちより、ショッピ君に触れられ、嬉しいと感じてしまってる。
私って本当つくづく単純なヤツ。
さあ、早く終わらせよう。さっき買ったレモンティーを飲んでから。
と、顔を上げた途端に、目を柔らかな感触が覆った。
「だ〜れだ」
「……マンちゃんだよね?」
「ふふ、正解〜」と嬉しそうにはにかんだのは人事部のオスマン。社内でも有名なエリートである。
容姿端麗で物腰が柔らかいことで社内でも人気が高い。
マンちゃんは異動で今は人事部に勤務しているが、異動する前は私の教育係だった。それで、今でも交流がある。
右も左も分からない私に根気よく1から教えてくれた。
仕事でもお世話になったが、休日にはたまに遊びに誘ってくれる。
「叱られちゃって、大変やね」
「う……最近集中出来なくて……」
「そんなゆきちゃんに〜」
「じゃじゃーん」とマンちゃんはバッグから2枚の紙切れのようなものを取り出す。
その上にはAFTERNOONTEAと書かれている。
「アフタヌーンティーチケット!?……こ、これ」
「今週日曜一緒に行かない〜?」
「も、もちろん行きたいです!」
ずっと憧れていたアフタヌーンティー。格式のある有名ホテルで優雅なスイーツが堪能出来る。
映画で見るような、美味しいお茶に、軽食、スイーツが盛り付けられた3段重ねのティースタンド。
「んふふ、顔ゆるゆるやで」
チケットを食い入るように見る私の頬をマンちゃんは人差し指でつつく。
「でも、本当に私でいいんですか……?」
「もちろんやで。むしろ、ゆきちゃんと一緒に行きたいめう〜」
マンちゃんの言葉に、くすぐったいような気持ちになる。
「ありがとう」と伝えると、マンちゃんは目尻のしわを指でかばうようにして笑った。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
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ぴざる - え…めっちゃすき焼きコロッケ丼…() (2021年3月23日 8時) (レス) id: 8f43ba0ff3 (このIDを非表示/違反報告)
ちくわたろー(プロフ) - ふぉおぉお、一気に読ませて頂きました!!神でした!!私がアホなのでお話全ては理解?出来なくて、でも雰囲気だけで読み進めても何かこう凄かったです!!後何回か読んでしっかり理解出来るようガンバリマス!めっちゃ好きでした。。 (2020年1月10日 1時) (レス) id: 8347c78c1d (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - はぁー!めっちゃ良かったちゃんと解説もあって分かりやすかったです!私ハーピーエンドが好きな方だったんですがこの作品はめっちゃ好きです(語彙力無くってすみません)これからも応援してます頑張ってください(`・ω・´) (2019年7月21日 7時) (レス) id: e6b21eff96 (このIDを非表示/違反報告)
脳内お花畑(プロフ) - 鳴宮さん» 私たち二人に対してコメントもありがとうございます!最後の表現は特に悩んだそうなので、かよさんもめっちゃ喜んでました!私もきゅんきゅんしてくださって、とても嬉しいです(五体投地)是非是非読み返してください! (2019年7月6日 20時) (レス) id: 999cc5b25a (このIDを非表示/違反報告)
脳内お花畑(プロフ) - 鳴宮さん» 初期の方から応援ありがとうございます!一番好きだなんて…嬉しいです!次回作の話はまだ出ていませんが、機会があればまたお願いします…! (2019年7月6日 20時) (レス) id: 999cc5b25a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かよ、脳内お花畑 x他1人 | 作成日時:2019年5月19日 13時